萩原遼

萩原遼の生涯と業績

概要

萩原 遼（はぎわら りょう）は、1937年に高知県高知市で生まれ、2017年に東京都で逝去した日本のノンフィクション作家・ジャーナリストです。彼の本名は坂本孝夫であり、また渋谷仙太郎や井出愚樹というペンネームでも知られています。日本共産党に30年以上所属し、北朝鮮に関する著作や翻訳活動で多くの業績を残しました。

生い立ち

萩原は、高知の地元高校を中退後、大阪に移住し様々な仕事を経た末、同地の定時制高校に編入しました。そこで在日朝鮮人の同級生との出会いがきっかけとなり、彼は朝鮮半島と朝鮮語に深くのめり込むようになります。18歳のときに共産党に入党し、意識的な政治活動を開始しました。

記者としての活動

1963年、萩原は大阪外国語大学で朝鮮語を学び卒業後、日本共産党の要求で「赤旗」の記者となり、平壌特派員に任命されました。1972年、彼は北朝鮮に赴任しますが、親友である在日朝鮮人が北朝鮮に帰国した経緯を追い求めた結果、1973年に北朝鮮からスパイ容疑で国外追放され、日本に戻ります。以降は赤旗外信部で働きましたが、共産党の方針と対立し、1988年に退職してフリーランスとして活動を開始します。

著作活動

萩原は多くの著作を残し、特に1993年に発表した「朝鮮戦争 金日成とマッカーサーの陰謀」は、北朝鮮による侵略行為を裏付ける一大資料集として評価され、歴史研究に多大な影響を与えました。著作は全国的に読まれ、1999年には『北朝鮮に消えた友と私の物語』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しました。

彼はまた、北朝鮮の人権状況や同国の教育機関に対する批判も行い、「拉致と真実」という雑誌を世に送り出し、2015年には「朝鮮総連本部をさら地にする会」を結成しました。これらの活動を通じて、彼は北朝鮮問題への市民の関心を深め、影響を与え続けました。

政治的対立

彼の政治活動は時に波紋を呼びました。例えば、2005年には日本共産党の内部での除籍問題に関与し、党指導部の政策批判を行いました。彼は自身の除籍を不当なものとし、その後も党の政策に抗議の声を上げていました。この対立は、北朝鮮に対する日本共産党の姿勢の扱いにまで及び、多くのメディアで取り上げられました。

最期と遺産

2017年、萩原は心不全のため80歳で逝去しました。その死は多方面から惜しまれ、彼の残した言葉や著作は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。彼の作品は北朝鮮の歴史や文化に関する貴重な証言として記憶され、今後の研究に寄与し続けることでしょう。

彼の信念と功績は、日本のジャーナリズムや歴史研究において重要な意味を持つものとして受け止められ続けることが期待されています。

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