萱野長知

萱野 長知（かやの ながとも）

概要

萱野長知は、1873年に高知県で生まれた政治運動家であり、民間外交家として知られています。彼は大陸浪人やアジア主義者の代表的な存在であり、日本の近代史において重要な役割を果たしました。別名として「鳳梨」や「無膓庵」、さらには「微笑」とも呼ばれています。彼の活動は、自由民権運動から始まり、日中友好の促進にまで及びました。

生い立ちと教育

萱野は土佐郡の高知北門筋（現在の高知市永国寺町）で、萱野新作と糸の間に長男として誕生しました。彼は海南学校や高知共立学校で学びましたが、どちらも中退しています。若い頃から自由民権運動に強く惹かれており、その影響を受けて多くの活動に関与していきました。

キャリアの始まり

1889年、萱野は従兄の深尾重亮が経営する大阪時事通信社の社員として新聞業界に足を踏み入れます。1892年には東京日日新聞に転職し、上海通信員としても活躍し、広東や香港でも新聞通信員の役割を果たしました。彼は中国語を学ぶなど、早くからアジアとの結びつきを重視していました。

戦争と革命

1904年のロシアとの戦争中は、陸軍通訳として満州での戦争に関与し、満州義軍にも参加しました。この間、彼は孫文と出会い、その後の辛亥革命において重要な役割を果たします。1906年には宮崎滔天や和田三郎とともに革命評論社を設立し、『革命評論』を創刊しました。この雑誌を通じて、孫文らの革命を支援しました。

政治活動

1913年、孫文が日本に亡命する際には、犬養毅を介して政界とのコネクションを作る手配をしました。政治家としての道は平坦ではなく、1915年には衆議院議員総選挙で落選し、さらには1917年の選挙でも結果は同様でした。それにも関わらず、彼は中国との友好関係を築くために努力し、有楽町で中華料理店「陶陶亭」を経営しました。

孫文との関係

彼は、1925年に孫文の臨終に立ち会うなど、強い結びつきを持ち続けました。その後も日本と中国の間の平和的関係構築に邁進し、満州事変解決のために蔣介石との停戦交渉に向かいましたが、当時の官僚たちによって計画は妨害され、成功することはありませんでした。

晩年

1946年には貴族院議員に選出され、交友倶楽部に所属していましたが、同年10月に交通事故に巻き込まれ、その後に容体が悪化していきました。1947年4月14日に亡くなるまで、彼は日中友好に尽力し続けました。彼の活動は、アジア主義と日中関係の深化において今なお語り継がれています。

参考文献

• - 衆議院事務局編『衆議院議員総選挙一覧 自第7回至第13回』
• - 『アジア主義者たちの声 : 入門セレクション 中』
• - 衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』
• - 『高知県人名事典 新版』

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