落ちた偶像

『落ちた偶像』（原題: The Fallen Idol）は、1948年に公開されたイギリスのミステリー映画です。この作品は、グレアム・グリーンの短編小説『地下室』（The Basement Room）を原作としており、グリーン自身がレスリー・ストームとウィリアム・テンプルトンと共に脚本を手掛けました。

物語は、ロンドンのとある大使館を舞台に展開します。主人公は、大使館で働く執事のベインズです。彼は、妻との関係が冷え切っており、同じ大使館に勤める若いタイピストのジュリーと不倫関係にあります。ベインズは、大使の息子である少年フィリップから慕われていますが、フィリップはベインズとジュリーの関係については何も知りません。物語は、ある事件をきっかけに、ベインズ、ジュリー、フィリップ、そして捜査に当たる刑事たちのそれぞれの思惑が複雑に絡み合いながら進行していきます。

主な登場人物は以下の通りです。

ベインズ: 大使館の執事を演じるのはラルフ・リチャードソンです。彼は、周囲から尊敬を集める人物でありながら、不倫という秘密を抱えています。
ジュリー: ミシェル・モルガンが演じるタイピスト。ベインズと不倫関係にあり、物語に複雑な要素を加えます。
ベインズ夫人: ソニア・ドレスデルが演じるベインズの妻。夫婦仲は冷え切っており、物語における緊張感を生み出します。
フィリップ: ボビー・ヘンリーが演じる大使の息子。ベインズを慕っており、物語の重要な目撃者となります。
クロウ: デニス・オディアが演じる警部補。事件の真相を追う役割を担います。
エイムズ: ジャック・ホーキンスが演じる刑事。クロウと共に捜査を進めます。

この映画は、単なるミステリーとしてだけでなく、人間の複雑な感情や倫理観を深く掘り下げた作品としても評価されています。特に、子供の視点を通して描かれる大人の世界の欺瞞や、不倫関係の危険性など、様々なテーマが散りばめられています。また、グレアム・グリーンの作品らしく、登場人物の心理描写が非常に丁寧で、観る者に深い印象を与えます。

『落ちた偶像』は、公開当時から高い評価を受け、現在でも多くの映画ファンに愛されています。その映像美や、緊張感あふれるストーリー展開は、ミステリー映画の傑作として語り継がれています。映画史に残る名作として、一度は観ておきたい作品の一つと言えるでしょう。

関連情報としては、以下の外部サイトで詳細情報を確認できます。

落ちた偶像 - allcinema
落ちた偶像 - KINENOTE
The Fallen Idol - オールムービー（英語）
The Fallen Idol - IMDb（英語）
* The Fallen Idol - Rotten Tomatoes（英語）

もう一度検索