葵 (駆逐艦)

駆逐艦葵（あおい）の歴史

駆逐艦葵（あおい）は、大日本帝国海軍における樅型駆逐艦の10番艦として知られています。この艦船は、1920年4月1日に神戸の川崎造船所で起工し、同年11月9日に進水、そして12月20日に竣工されました。当初は駆逐艦としての運用がなされましたが、1940年4月1日に哨戒艇に類別変更され、第三十二号哨戒艇という名前が付けられました。

葵は日中戦争においても華北沿岸の作戦に参加し、その実績を残しました。1941年、太平洋戦争が始まると、葵は南洋部隊に編入され、重要な作戦において活躍を続けました。特に、ウェーク島攻略作戦に参加する際には、多くの艦船と共に出撃し、艦隊の一翼を担いました。

1941年11月20日、葵はサイパンを経由してルオットに到着し、そこで陸戦隊を収容しました。12月8日には、ウェーク島攻略部隊とともに出撃しましたが、到着した12月10日には予期せぬ高波に見舞われ、特設巡洋艦の艦隊は陸戦隊を移動させることができませんでした。撤退命令が出る中で、葵はなんとか大発を降ろし陸戦隊を移乗することに成功しましたが、最終的に彼らは残されることとなりました。

ウェーク島の攻略戦は再度行われることになり、攻略部隊は全力で上陸を果たすことを決意しました。12月21日に海上へ出た艦隊は、12月22日にはウェーク島に到達。この際、葵は大発を成功裏に降ろすことができましたが、他の哨戒艇は擱坐上陸することになってしまいました。12月23日の早朝、葵は上陸を行いましたが、放棄された直後に海兵隊の対空砲により砲撃を受け、破壊される運命を迎えました。1942年1月10日には完全に除籍され、その歴史に幕を下ろしました。

艦長の歴史

艦長についても注目すべき点があります。葵には複数の艦長が在任しましたが、初代艦長は千谷定衛少佐であり、1920年の竣工から約1年半にわたってその職を務めました。その後、さまざまな艦長が交代していき、軍艦としての運用に大きく寄与してきました。艦長たちの影響もあり、葵は多くの任務を遂行し、艦歴に名を刻む存在となったと言えるでしょう。

参考文献

• - 海軍省 編『海軍制度沿革』
• - 日本海軍史
• - 片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝』
• - 防衛庁防衛研修所戦史室『戦史叢書第38巻 中部太平洋方面海軍作戦』

駆逐艦葵は、その短き生涯の中で数々の戦歴を持ち、特にウェーク島での戦闘はその運命を大きく変える出来事となりました。その舷号は今も多くの人々に記憶され、艦船史の中で重要な位置を占めています。

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