蒲原鉄道線

蒲原鉄道線の歴史と概要

蒲原鉄道線（かんばらてつどうせん）は、新潟県加茂市の加茂駅から中蒲原郡村松町を経て五泉市の五泉駅までの間を結んでいた鉄道路線です。この路線は蒲原鉄道が運営しており、通称「蒲鉄線」とも呼ばれていました。1985年4月に加茂 - 村松間が廃止された後も、短い距離ではありますが村松 - 五泉間が運行されていました。しかし、1999年10月にこの路線も閉じられ、全線が廃止されました。

路線の基本情報

冒頭で紹介した通り、蒲原鉄道線の総延長は21.9kmで、全線が単線でした。軌間は1,067mm、最高速度は55km/hでした。全線にわたって電化が行われ、直流600Vで運行されていました。線路の閉塞方式は、東加茂 - 村松間がタブレット閉塞式、加茂 - 東加茂間、村松 - 五泉間はスタフ閉塞式を採用していました。路線には全部で15駅がありました。加茂駅は鉄道省の管理駅として重要な役割を果たしていました。

歴史背景

この路線の開業は、地域の政治・物流の中心地であった村松町からの強い要望から始まります。当時、村松町には北越鉄道や岩越鉄道が敷設されず、地元の有志による鉄道建設の働きかけが続けられました。1919年には、朝比奈林之助を中心に蒲原鉄道が設立されました。その後、1923年には村松 - 五泉間（4.2km）が開業し、新潟県内では初の電化路線となりました。

その後の1930年には全線が開通し、村松から加茂までの路線が完成しましたが、一方で経営は厳しいものでした。特に、村松 - 加茂間は沿線人口が少なく需要が限られているため、運営に苦戦しました。特に貨物輸送が秋季に集中したため、年間輸送量は最盛期に比べて伸び悩みました。

経営の厳しさ

1960年代以降、一般的なモータリゼーションの影響により、蒲原鉄道線の利用客は急速に減少しました。特に、村松 - 加茂間では沿線人口の希薄さが運営に影を落としました。この状況を受けて、1978年にワンマン運転が導入され、運営効率化が試みられました。

しかし、利用者数の減少は続き、1985年4月には村松 - 加茂間が廃止され、蒲原鉄道線は五泉 - 村松間（4.2km）のみに縮小されました。五泉 - 村松間でも利用客の減少は続き、とうとう1999年には全線の廃止に至りました。

廃止後の状況

蒲原鉄道線の全線廃止後、地域における公共交通機関の役割はバスに引き継がれました。五泉市は廃止に対して反対しましたが、最終的には合意が形成され、元の鉄道路線の代わりにバスが運行されることになりました。これにより、新潟県内の非営利鉄道路線は大幅に減少し、地域交通の変化を象徴する出来事となりました。

今後、蒲原鉄道線の存在を振り返ることで、地域交通の発展や変遷を再認識することができるでしょう。郷土の歴史として記憶されるべき、蒲原鉄道線の物語はここに幕を閉じることとなりました。

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