蓋置

蓋置（ふたおき）は、茶道において、釜の蓋や柄杓の合（ごう）を一時的に置いておくための道具です。茶席で、これらの道具を直接畳に置くことを避けるために用いられます。

蓋置の種類と特徴

蓋置には、様々な素材が用いられますが、代表的なものとして竹、金属、陶磁器などがあります。

竹製の蓋置:
竹製の蓋置は「引切（ひききり）」とも呼ばれ、竹の根元を上にして使用するのが特徴です。これは、竹の生命力を尊重する意味合いがあると考えられています。
竹の切り方には、炉用と風炉用で違いがあります。風炉用は、上端に節がある「天節」と呼ばれるものを用い、炉用は、節が真ん中あたりに来る「中節」と呼ばれるものを用います。
竹製の蓋置は、一般的に棚点前で最後に飾られることが多いですが、特別な場合を除き、飾ることはありません。

その他の素材の蓋置:
金属製や陶磁器製の蓋置は、形状やデザインが多岐にわたります。それぞれの素材の特性を生かした意匠が凝らされています。
これらの蓋置は、竹製のものとは異なり、棚点前で飾られることもあります。

七種蓋置

千利休が選んだとされる特別な蓋置として、「七種蓋置」と呼ばれるものがあります。これは、火舎（ほや）、五徳（ごとく）、一閑人（いっかんじん）、三つ人形（みつにんぎょう）、蟹（かに）、さざえ、三つ葉（みつば）の七つを指します。

七種蓋置は、それぞれが独特の形状と意味合いを持ち、茶席において特別な扱いを受けます。これらの蓋置を用いることで、茶席に趣が加わるとされています。

蓋置の扱い

蓋置は、茶道において、他の道具と同様に丁寧に扱われるべきものです。使用する際には、傷つけたり、汚したりしないように注意が必要です。また、蓋置の扱い方には、流派によって細かな作法がある場合もあります。

蓋置は、茶道の美意識と精神性を体現する道具の一つであり、その種類や扱いに触れることで、茶道の奥深さを感じることができます。

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