蔚山沖海戦

蔚山沖海戦

蔚山沖海戦（うるさんおきかいせん）は、日露戦争における日本海軍とロシア海軍の間で発生した重要な海戦です。この戦闘は、英語では「Battle of the Japanese Sea」とも呼ばれますが、別の著名な海戦である日本海海戦（Battle of Tsushima）とは混同しないように注意が必要です。

背景

日露戦争が始まると、ロシア帝国はウラジオストクを母港とする巡洋艦隊を編成しました。この艦隊は装甲巡洋艦「ロシア」「グロモボーイ」「リューリク」から成り、積極的に通商破壊活動を展開していました。日本海軍は、第二艦隊を派遣してこの艦隊を捜索しましたが、捕捉には至りませんでした。また、ウラジオストク艦隊が東京湾近くに現れると、日本国内では更なる緊張が高まり、政府や民間人からの圧力が強まりました。

この艦隊は、8月10日には旅順艦隊が脱出を図るとの情報を受け、出撃することとなりました。ウラジオストク艦隊は海峡の南北を巡りながら日本艦隊との接触を伺います。一方、日本側は艦隊を追撃し、両艦隊は次第に接近していきました。

海戦経過

実際の戦闘は、8月14日午前4時過ぎに始まりました。上村中将の指揮する第二戦隊がウラジオストク艦隊を発見し、ただちに接触しました。両側が砲撃を開始し、戦闘が繰り広げられましたが、ウラジオストク艦隊は接触を試みるも苦戦し、次第に後退を余儀なくされていきました。

午後7時54分、ロシア艦隊の損害は増加し、最終的には「リューリク」が指揮官の下沈命令に従い沈没しました。この結果、日本側は626名の戦闘員の救助に成功しました。戦後、残ったロシア艦艇はウラジオストクへ帰還しましたが、既に戦局は日本側に有利に進展しており、両艦の損害も顕著でした。

戦後の影響

戦後、ウラジオストクに戻ったロシア艦艇は修理を要しましたが、物資の不足から修理作業はすすまず、次第にその役割は不活発になっていきました。1905年初頭には一部の艦艇が出航しましたが、大きな影響を与えることはありませんでした。日本海軍は、海の制海権の確保に成功し、戦争を有利に進める基盤を築きました。

また、ウラジオストク艦隊の他の艦船は、太平洋を渡って逃げ続けることができましたが、彼らの活躍は著しく減少していました。その後、戦死者の葬儀が東京と佐世保で執り行われるなど、この戦闘は日本国内にも多くの影響を及ぼしました。

このように、蔚山沖海戦は日露戦争における日本海軍の記念碑的な勝利となり、戦争の展開に大きく寄与した重要な出来事であったと言えるでしょう。

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