蔡篤俊

蔡 篤俊（さい とくしゅん）

蔡篤俊は、1945年に台湾の員林北斗に生まれた医師です。内科医、精神科医としての臨床経験を持ちながら、伝統的な東洋医学や独自の医学理論に基づいた統合医療を実践し、特に皮膚病や癌治療において知られています。

経歴

蔡篤俊氏は、まず1967年に台湾の中央警察大学を卒業後、台湾TCIAにて勤務しました。その後、医学を志し、1977年に日本の千葉大学医学部に入学。1983年に同大学を卒業し、初期研修として千葉大学医学部附属病院の産婦人科に勤務しました。さらに研鑽を積み、1985年には荏原病院の内科に移り、内科医としての経験を積みました。1991年には順天堂大学において、精神科医療分野で博士の学位を取得しています。

臨床経験を積む一方で、自身の医療観に基づいた活動を開始し、1996年には医療法人社団「医鍼会」を設立し、理事長に就任しました。この医鍼会は、氏が開設した蔡内科クリニックを運営しています。さらに、社会活動にも積極的に関与し、2003年にはNPO法人「中華文化振興会」の理事長、同年にはNPO法人「世界皮膚病新治療組織機構」の理事長も務めました。

国際的な活動も展開しており、2008年には中国の河南中医大学皮膚病研究所の所長に就任。また、故郷である台湾においても、2010年に台湾台北医鍼会「蔡篤俊診所」を開設し、その所長を務めています。

思想と著作

蔡篤俊氏の医学思想は、従来の西洋医学にとどまらず、東洋医学の知見や独自の理論に基づいています。特に、多くの病気の根源を「万病一毒論」という観点から捉え、体内の毒素や「瘀血（おけつ）」が万病の原因であるとする考え方を提唱しています。この思想は、氏の多くの著作で展開されており、特に難治性とされる皮膚病や癌といった疾患に対する独自の治療法やアプローチが紹介されています。

著書には、以下のようなものがあります。

『新医療革命』 癌と皮膚病を治す基本的な考え方
『皮膚病は病院で治らない』 万病一毒論、ある医師からの警告
『あらゆる皮膚病はこれで治る!』 ステロイドなしで体の中から治す
『神経外科解剖針灸学』
『万病一毒論』
『心を洗い直せば』
『あらゆる病気の原因は瘀血にある』 瘀血を取り出す!誰も若々しく健康になる。
『癌は治る』 治療法さえ正しければ、癌は治る。

これらの著書は、皮膚病治療におけるステロイドへの依存からの脱却や、癌に対する希望を失わない治療法、そして「瘀血を取り出す」ことによる健康回復など、既存の医学界に一石を投じる内容を含んでいます。また、『神経外科解剖針灸学』のように、針灸といった伝統療法の科学的アプローチを探求する著作もあり、氏の医学に対する幅広い関心と探求心を示しています。

中国語の著作として『万病一法』や『我把皮膚病治好了』、さらに英語の著作『Perfect Remedy for Skin Diseases!』も出版されており、その活動は日本国内に留まらず、国際的な広がりを見せています。

現在の活動

現在も、蔡内科クリニック院長として患者の診療にあたる傍ら、台湾台北医鍼会 蔡篤俊診所の所長として台湾でも医療活動を行っています。また、NPO中華文化振興会やNPO世界皮膚病新治療組織機構の理事長として、文化振興や新たな医療アプローチの普及にも力を注いでいます。公式ウェブサイトやブログを通じて、自身の医学観や健康に関する情報を発信し続けています。

蔡篤俊氏は、多様な経歴と幅広い視点から、現代医療が抱える課題に対し、独自の理論と実践をもって向き合い、患者の健康回復を目指す活動を続けている医師といえます。

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