蕭岐

蕭岐（しょう き）は、明の初期に活躍した学者であり官僚です。字（あざな）は尚仁（しょうじん）といい、本貫は吉州太和県（きっしゅうたいわけん）にあります。生没年は明らかになっていません。


幼少期に両親を亡くし、祖父母に孝養を尽くしたことで知られています。その人となりから度々推挙を受けましたが、自ら都に上ることはありませんでした。しかし、1384年（洪武17年）に洪武帝の命により、賢良な人物として召し出され、官僚としての道を歩むこととなります。


蕭岐は、当時の洪武帝が刑罰を過度に適用している状況を憂い、誣告（事実に基づかない告発）が横行していることを問題視していました。そのため、洪武帝に対し、誣告者に褒美を与えることを禁止し、律に基づいて刑獄を運用するよう求める「十便書」を上書しました。この上書の内容が認められ、謁見の機会を得ると、潭王府長史（たんおうふちょうし）に任じられます。しかし、蕭岐はこの任を固辞し、その結果、雲南楚雄訓導（うんなんそゆうくんどう）に左遷されることとなります。


左遷の辞令が出ると、蕭岐は直ちに雲南へ向かいましたが、追手の騎兵に連れ戻されてしまいます。その後、1年あまりして陝西平涼訓導（せんせいへいりょうくんどう）に転任となり、翌年には官職を辞して致仕しました。しかし、その学識の高さから、再び召し出され、銭宰（せんさい）らとともに『書経』の考証にあたり、銭宰の『書伝会選』の編纂を助けました。


蕭岐は、学者としても非常に優れた人物であり、『五経要義』や『刑統八韻賦』などの著作を残しています。その学識の高さから、当時の学者たちの間では「正固先生」と呼ばれ、敬意を集めていました。


このように、蕭岐は官僚として、そして学者として、明の初期において重要な役割を果たした人物でした。その功績は、彼の著書や、その行動を通じて、後世にまで語り継がれています。


【参考文献】

『明史』巻139 列伝第27

もう一度検索