蕭恵妃

蕭恵妃（しょうけいひ）は、遼（契丹）の道宗（どうそう）の二番目の皇后であり、小字（幼名）は坦思（たんし）といいます。彼女は、駙馬都尉（ふばとつい：皇帝の娘婿に与えられる官職）の蕭酬斡（しょう しゅうあつ）の妹にあたります。

生い立ちと入宮

蕭恵妃は、趙王（ちょうおう）蕭別里剌（しょう べつりら）と燕国夫人（えんこくふじん）削古（さくこ）のあいだに生まれました。太康（たいこう）2年（1076年）、時の権力者である耶律乙辛（やりつ いっしん）の目に留まり、選抜されて後宮に入り、皇后として立てられました。

皇子を巡る状況と没落

数年が経過しましたが、蕭恵妃は皇子を産むことができませんでした。皇后の妹である蕭斡特懶（しょう あつとくらん）は、先に耶律乙辛の子である耶律綏（やりつ すい）に嫁いでいましたが、皇后が道宗に勧めて離婚させ、蕭斡特懶を宮中に入れました。しかし、太康8年12月（1083年1月）、蕭恵妃は恵妃（けいひ）に降格され、乾陵（けんりょう：皇帝の陵墓）に移されました。蕭斡特懶も家に帰されました。

太安（たいあん）2年（1086年）7月、蕭恵妃の母である燕国夫人が、梁王（りょうおう）耶律延禧（やりつ えんき）に対して呪詛（じゅそ）を行ったことが発覚し、処刑されました。恵妃も庶民に落とされて宜州（ぎしゅう）に幽閉され、弟たちは奴隷に落とされて興聖宮（こうしょうきゅう：女古オルダ）に入れられました。

復権と晩年

天慶（てんけい）6年（1116年）12月、蕭恵妃は召還されて太皇太妃（たいこうたいひ）に封じられました。しかし、後に黒頂山（こくちょうざん）に逃れ、そこで亡くなると、太子山（たいしさん）に葬られました。

蕭恵妃の生涯は、遼の宮廷における権力争いと、皇子を産むことの重要性を示す一例と言えるでしょう。

伝記資料

* 『遼史』巻71 列伝第1

もう一度検索