薄井憲二

薄井憲二 - 日本バレエの先駆者

薄井憲二（1924年3月30日 - 2017年12月24日）は、日本のバレエ界の重要な人物であり、ダンサー、振付家、指導者、評論家、さらには舞踊史研究者として広く知られています。彼は、戦後の日本バレエ界において中心的な存在であり、数多くの功績を残しました。

バレエとの出会いと経歴の始まり

東京都に生まれた薄井は、幼少期から母や姉とともに舞台芸術に親しんできました。特にバレエに興味を持つきっかけとなったのは、エリアナ・パヴロワの舞台や、イーゴリ・ストラヴィンスキーの『火の鳥』を偶然聞いたことでした。また、1941年には東勇作バレエ団の公演を観劇し、そのパフォーマンスに強く感銘を受けます。このとき、薄井は初めてバレエを学ぶ決意を固めました。

バレエ界への昇進

薄井は1942年から東勇作のもとで本格的なバレエの稽古を始め、その才能を発揮しました。彼はすぐに舞台に立ち、その後東京大学経済学部に進学しながらも、バレエの練習に継続して通い続けました。しかし、戦争の影響で200人以上に及ぶ招集が続き、薄井自身も1945年に軍に召集され、満洲国での抑留生活を余儀なくされました。この辛い経験の中で、彼はロシア語の理解を深め、抑留中に観たバレエ映画から新たなインスピレーションを受けました。

戦後の活動と影響

1949年に復員して再び東京大学に戻り、東勇作バレエ団に参加した薄井は、ダンサー、振付家として活躍を続けました。1950年代にはテレビの舞台にも出演し、振付作品も数多く手掛けました。1958年に設立された日本バレエ協会では、役職を歴任し、2006年には第4代会長に就任。彼の収集したバレエ関連の文献資料は世界的にも評価され、兵庫県立芸術文化センターで展示されています。

教育者としての側面

薄井は現役を退いた後、バレエ専門学校や国際的なバレエコンクールの審査員としても活躍しました。彼の教育活動は広範囲にわたり、次世代のバレエダンサーを育成することに尽力しました。また、著書も多くあり、バレエに関する知識を広めるための活動も行っています。

結びと遺産

薄井憲二は2017年に93歳で亡くなるまで、日本のバレエ界に多大な影響を与え続けました。彼の功績は、単にダンサーとしての枠に収まらず、教育者として、研究者として、文化を広める活動を通じて、今なお多くの人々に伝承されています。彼の生涯は、日本バレエ界の発展の象徴でもあり、未来への道しるべとなるでしょう。

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