薩摩国分寺跡

薩摩国分寺跡について

薩摩国分寺跡は、鹿児島県薩摩川内市国分寺町に位置する古代寺院の跡です。この地は、奈良時代に聖武天皇の詔によって全国に建立された国分寺の一つであり、その歴史的、文化的な重要性から、国の史跡に指定されています。

歴史

発掘調査の結果から、薩摩国分寺は8世紀後半に建立されたと考えられています。しかし、他の国分寺と比較して早くに衰退したとされています。室町時代には「国府天満宮」の神宮寺として存続していましたが、豊臣秀吉の九州征伐の際に焼失しました。江戸時代に入り、島津光久によって再建され、泰平寺の末寺として細々と命脈を保ちましたが、明治時代の廃仏毀釈によって廃寺となりました。

塔跡は早くから知られており、明治21年にはその礎石が市内の寺に移されていましたが、昭和19年に元の場所に戻され、国の史跡として指定されました。その後、昭和51年には全域1.5ヘクタールが史跡に追加指定され、昭和60年に「薩摩国分寺跡公園」として整備されました。

発掘調査

戦後、昭和43年から発掘調査が進められ、伽藍の構造が明らかになりました。その結果、南北130メートル、東西120メートルという規模は、他の国分寺と比較して小規模であることが判明しました。また、伽藍配置は「川原寺式」と呼ばれる特異な形式を採用しており、この点が他の国分寺とは大きく異なっています。これは、薩摩国が都から遠く離れた辺境の地であったことが影響していると考えられています。

文化財

薩摩国分寺跡は、その歴史的な価値から複数の文化財指定を受けています。

国の史跡
昭和19年11月13日に、塔跡が「薩摩国分寺塔跡」として国の史跡に指定されました。
昭和51年6月16日には、史跡範囲の追加指定が行われ、名称が「薩摩国分寺跡」に変更されました。
昭和57年10月14日には、さらに史跡範囲が追加指定されています。
薩摩川内市指定文化財
有形文化財: 薩摩国分寺層塔が、昭和60年3月27日に指定されています。
関連文化財
薩摩国分寺礎石: 1点が亀山市指定の有形文化財（考古資料）として指定されています。この礎石は個人が所有しており、鹿児島から三重県亀山市に運ばれたものです。昭和27年6月18日に指定されました。

まとめ

薩摩国分寺跡は、古代日本の寺院建築や文化を知る上で非常に貴重な史跡です。その特異な伽藍配置や小規模な規模は、当時の薩摩国の地理的、歴史的な背景を反映していると考えられます。現在では公園として整備されており、多くの人々に歴史を伝える場所となっています。



薩摩国分寺跡 - 国指定文化財等データベース（文化庁）

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