薮崎昭

薮崎 昭（やぶざき あきら）

薮崎 昭は1928年8月19日に福岡県久留米市で生まれました。本名は藪崎で、幼少期に静岡市に家族と共に移りました。学業は静岡市立城内尋常小学校を1941年に卒業し、続いて静岡県立静岡中学校も1945年に卒業。この間に第二次世界大戦が激化し、彼は四年で卒業することになりました。

戦争終結後、父を亡くした薮崎は、復員してきた医者の兄から「美術学校に行くことができる」と後押しを受けました。当時の東京美術学校は新制大学への移行のために入学試験を行っていなかったため、薮崎は翌年に受験資格を調べたところ、必要な学歴が不足していることが判明。既存の教育体制に合わせて母校に三年次編入し、美術教育に専念します。ここで彼は美術教師の大村政夫から基礎的な知識を取得し、その後、山本丘人の指導も受けました。

1950年に静岡県立静岡城内高等学校を卒業し、同年に東京藝術大学美術学部日本画科に入学します。1954年に大学を卒業し、卒業制作として制作した「女」（200号）は大学に買い上げられました。このことは彼にとって重要な評価を受けた瞬間であり、その後の作品に大きな影響を与えました。

薮崎は1969年に東京銀座の資生堂ギャラリーで個展を開催したことから、油彩画の作家としてのキャリアが始まります。彼は自身の言葉で「日本画では現代の複雑さを表現するのが難しい」と述べ、表現の手段として油絵にシフトしました。以降、東京や静岡で個展を重ね、彼の作品は個別の思想や感情を表現することを優先する姿勢が色濃く反映されていました。

薮崎は、「芸術は個人の思想を表現するものであり、団体に所属すると干渉を受ける」と考え、個人展のみで自己表現を模索し続けました。このため、彼は美術団体やグループに属することなく、独自のスタイルを発展させていきました。また、1997年には母校の静岡高校に寄贈した作品「秋苑」（60号）が注目されており、これは大学3年時に制作したものです。

著書

薮崎は作品を集めた著書も多数出版しています。主な著書には、『藪崎昭作品集』（2014、2010年）、『明治大正ガラス百八十三器』(1976)、そして『民器礼賛』などがあります。これらの著作を通して、彼の美術観や作品に対する考え方を見ることができます。

まとめ

薮崎昭は、日本の油彩画界において独自の足跡を残した画家です。彼の画風と理念は、個人の表現を重視する態度に基づいており、歴史的な背景や自身の経験から生まれたものでした。個人の表現を追求し続けたその姿勢は、多くの人々に影響を与え続けています。彼の作品や考えは、今後も色褪せることはなく、多くの芸術家や文化にインスピレーションを与え続けるでしょう。

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