藤 (駆逐艦)

駆逐艦「藤」（ふじ、ふぢ）

駆逐艦「藤」は、日本海軍の代表的な駆逐艦の一隻であり、樅型駆逐艦の13番艦に位置づけられています。1921年5月31日に藤永田造船所で竣工し、その後の艦隊任務や水雷学校の練習艦として多くの役割を担いました。

艦歴の始まり

「藤」は、建造時から駆逐艦としての運用を重視され、1926年には大沽口事件において中国の大沽沖に停泊していました。この時、艦隊司令官の指揮の下、迅速な連絡を図るために艦隊での大沽口への侵入が決定されましたが、中国国民軍からの激しい攻撃を受けます。艦の防衛を行いつつ、蒲田司令官以下3名が負傷する事件もありました。

改名と哨戒任務

1940年4月1日には、艦は「第三十六号哨戒艇」と改名され、哨戒艇としての任務に従事しました。1942年からはソロモン方面への進出を開始し、船団護衛や増援の陸戦隊輸送などを行いました。この年の8月には、アメリカ軍によるマキン奇襲上陸に対応するため、駆逐艦と共に増援部隊の輸送任務も実施しました。

戦争末期

1944年3月30日、パラオにて敵機の攻撃によって「藤」は損傷を受け、その後スラバヤで終戦を迎えました。戦後は復員船として活動していましたが、ジャワ島近くでインドネシア海軍に奪取されるという一幕もありました。しかし、イギリスとオランダの海軍によって奪還される運命を歩みました。そして、1946年7月には戦時賠償艦としてオランダに譲渡され、その後解体されました。

歴代艦長について

艦の指揮を執った歴代艦長には、神山忠少佐や若木元次少佐などが名を連ねています。各艦長は艦の艤装や運用において重要な役割を果たし、艦の歴史を形作る一因となりました。艦長は時期ごとに交代し、それぞれが独自の指揮スタイルを持ちながら艦を運営していました。

主な艦長の任期

• - 神山忠 少佐: 1921年5月31日 - 1922年12月1日
• - 若木元次 少佐: 1922年12月1日 - 1923年5月1日
• - 佐竹義男 少佐: 1923年5月1日 - 1923年12月1日

参考文献

歴史を知る上で、以下の資料が役立ちます。

• - 片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝』
• - 海軍歴史保存会『日本海軍史第7巻、第9巻、第10巻』
• - 防衛庁防衛研修所戦史室『戦史叢書第62巻 中部太平洋方面海軍作戦』

駆逐艦「藤」の艦歴を通じて、日本海軍のさまざまな戦略や艦の役割を振り返ることができます。戦争という大きな歴史の中で、藤は多くの艦士たちの思い出とも繋がっており、その存在は今もなお語り継がれています。

もう一度検索