藤代義雄

藤代義雄：刀剣研究に捧げた生涯

藤代義雄（ふじしろ よしお、1902年9月6日 - 1945年12月10日?）は、日本の刀剣研究家として知られています。彼の生涯は、刀剣研究と普及に情熱を注ぎ、独自の技術と方法で刀剣界に貢献しました。

生い立ちと刀剣研究への道

東京市芝で生まれた藤代は、15歳から父親について刀剣研磨の技術を習得しました。同時に、本阿弥光尊が主宰する日本刀剣研究会で刀剣に関する知識を深めました。若くして刀剣の世界に足を踏み入れ、その魅力に惹かれていったのです。

独自の押形技術と通信販売の創案

大正末期頃から、藤代は青写真による「おしがた」を発行しました。これは、刀剣の形状を記録・複製する技術で、後の手刷り亜鉛判オフセットへと発展しました。さらに、ローラーを用いた「藤代式押形」を考案し、より精度の高い押形作成を可能にしました。

また、藤代は「通信刀剣目録」を発行し、刀剣の通信販売を創案しました。これは、当時としては画期的な試みであり、刀剣愛好家にとって貴重な情報源となりました。

1933年春には、「藤代月報」と改称し、刀剣に関する情報を定期的に発信するようになりました。この月報は、1943年までに214号を発行し、刀剣研究の普及に大きく貢献しました。

晩年と突然の終焉

1943年8月、藤代は刀剣商を廃業し、刀剣鑑定に専念するようになりました。しかし、第二次世界大戦の敗戦後、米軍による刀剣没収という事態に直面し、深く心を痛めました。そして、1945年12月10日に消息を絶ち、その日を命日として、43歳という若さで生涯を終えました。彼の突然の死は、刀剣界にとって大きな損失でした。

著書と弟子

藤代は、数多くの著書を著し、刀剣研究の発展に貢献しました。主な著書には、以下のようなものがあります。

『源清麿の銘』(1931)
『刀剣図録』(1934)
『図鑑江戸三作之研究 正秀・直胤・清麿』(1936)
『日本刀工辞典』(1937-1938)
『日本刀要覧』(1940)
『新刀集 刃文と銘字』(1943)

また、柴田光男といった弟子を育成し、彼の刀剣研究の精神は後世に受け継がれています。

藤代義雄は、独自の技術と情熱をもって刀剣研究に貢献した人物でした。彼の業績は、今日においても高く評価され、刀剣界に多大な影響を与え続けています。

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