藤原保幸

藤原保幸：伊丹市長として歩んだ五期と大阪国際空港問題

藤原保幸氏は、1954年兵庫県伊丹市生まれ。東京大学工学部卒業後、建設省に入省し、千葉県庁や兵庫県庁への出向を経て、国土交通省住宅局住環境整備室長などを歴任した官僚経験を持つ。

2005年、伊丹市長選挙に初当選。以来、5期にわたって伊丹市長を務め、市の発展に貢献してきた。特に、大阪国際空港（伊丹空港）に関する姿勢が注目を集めてきた。

伊丹空港は、1994年の関西国際空港開港以降、その存廃が議論されてきた。藤原氏は、伊丹空港を伊丹市の発展に不可欠と捉え、就任当初からその存続と活性化、そして国際線の復活を訴え続けてきた。

2007年には、それまで「大阪国際空港撤去都市宣言」を掲げていた市の姿勢を大きく転換する「大阪国際空港と共生する都市宣言」を市議会に提案し、可決に導いた。この決議は、藤原氏の伊丹空港存続への強い意志を示すものとなった。

2013年の市長選は、大きな転換点となった。当時、関西国際空港への機能集約・強化を主張する大阪市の橋下徹市長が率いる日本維新の会が、候補者を擁立。この選挙は、維新の会にとって兵庫県への本格進出をかけた重要な戦いでもあった。

対立候補は、伊丹空港の存廃問題に関して明確な立場を示さなかったが、藤原氏は「空港の存続・活性化」を最重点公約に掲げた。さらに、維新の会が示唆した大阪周辺10市程度の合併構想に反対し、「伊丹を大阪の植民地にしてはいけない」と訴えた。

選挙の結果、藤原氏は圧勝で3選を果たした。この勝利は、伊丹市民が伊丹空港の存続と、大阪市による影響からの独立性を強く望んでいることを示すものと言えるだろう。藤原氏自身も、この選挙を「橋下市長との戦い」と認識しており、維新の会の兵庫県への進出を阻止したと述べている。

2021年の市長選では、コロナ禍の影響もあり空港問題に関する議論は低調となった。しかし、維新の会は対立する争点がないと判断し、藤原氏を推薦。自民党、公明党からの推薦も受け、藤原氏は5選を果たした。

藤原保幸氏の市長在任期間は、伊丹空港の存続という大きな課題への取り組み、維新の会との対決、そしてコロナ禍など、様々な出来事によって特徴づけられる。伊丹市の発展に大きく貢献した氏の功績は、今後も高く評価されるだろう。

彼の政治姿勢は、地方自治体の自主性を重視し、地元の利害を第一に考えるものであったと言える。 伊丹空港の存続という地元にとって重要な課題に対し、明確なビジョンを示し、粘り強く取り組んできた姿勢は、地方政治におけるリーダーシップの模範と言えるだろう。 また、大阪都構想への反対表明に見られるように、外部勢力からの圧力に屈することなく、自身の信念を貫き通す強さも見せた。 これらの経験は、他の地方自治体の首長にとっても貴重な教訓となるだろう。

今後も、藤原氏の経験と知見が、伊丹市のみならず、日本の地方自治体全体の更なる発展に役立つことが期待される。

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