藤原宣夫

藤原宣夫

藤原 宣夫（ふじわら のぶお、1959年 - ）は、日本の造園学および環境学の研究者です。現在は大阪府立大学大学院生命環境科学研究科で緑地環境科学専攻の教授を務めています。秋田県出身で、専門は造園学や環境学に及び、生態系の保全や緑地環境に関する多岐にわたる研究に取り組んでいます。

学歴と初期のキャリア

藤原氏は1982年に千葉大学園芸学部環境緑地学科を卒業しました。同年、建設省（現在の国土交通省）に入省し、技官としてのキャリアをスタートさせます。省内では、主に緑地や公園に関連する部署を歴任しました。

国土交通省時代

建設省およびその後の国土交通省では、国営みちのく杜の湖畔公園の工事事務所長を務めたほか、国土技術政策総合研究所の緑化生態研究室長として、都市公園や街路樹などの緑化に関連する技術開発や、環境保全技術の研究に携わりました。また、愛知県建設部公園監として自治体への出向も経験しています。この国土交通省での勤務期間中、つくばの研究機関や全国各地の国営公園事務所で実務に励みました。建設に深く関わった国営公園としては、みちのく杜の湖畔公園の他に、淀川河川公園、海の中道海浜公園、木曽三川公園などがあります。

2005年には、長年の研究成果を基に千葉大学から博士（学術）の学位を取得。同年、日本緑化工学会論文賞も受賞し、研究者としての評価を確立しました。そして、2006年に国土交通省を退職し、教育・研究の道へと進むことになります。

教育者として

国土交通省退職後、藤原氏は岐阜県立国際園芸アカデミーの環境コース教授に就任（2006年）。ここで5年間教鞭を執った後、2011年から大阪府立大学の教授となり、現在に至ります。また、国際園芸アカデミーの客員教授も兼任しています。

研究分野

藤原氏の研究テーマは、現代社会における緑地環境や生態系に関する重要な課題に焦点を当てています。主な研究分野は以下の通りです。

外来植物の駆除と在来植物の保全: 侵略的な外来植物の対策と、地域固有の植生の回復および保全に関する研究。
植生景観の再生: 劣化した生態系や景観を、本来の植生に戻すための技術と手法の開発。
文化的景観の保全: 人々の生活や歴史に根差した文化的景観、特に農山村や都市の緑地における景観保全の研究。
緑化関連技術の開発: 街路樹の生育環境改善、斜面緑化による防災・景観改善、水辺緑化による生態系回復など、具体的な緑化技術の研究開発。

社会貢献活動

藤原氏は学会活動や様々な委員会のメンバーとしても精力的に活動しており、専門知識を社会に還元しています。主要な役職・委員歴は以下の通りです。

日本緑化工学会 監事
応用生態工学会 理事
日本造園学会 理事、造園技術報告集委員会委員長
環境情報科学研究センター 企画委員
環境アセスメント学会 評議員
こども環境学会 編集委員会校閲部会委員
公園財団 研究顧問
大江緑道地域づくりネットワーク会議 座長（国土交通省中部地方整備局）
関西電力株式会社 エネルギー懇話会委員
国土環境緑化協会連合会 アドバイザー

このほかにも、岐阜ファミリーパーク再整備検討委員会委員長、堺市緑の政策審議会部会委員など、国や自治体の各種委員を多数務めており、政策形成や計画策定においても重要な役割を果たしています。

著書

主な著書としては、『未来につなぐビオトープ施工技術』（2012年、共著、監修 木呂子 豊彦）、『都市に水辺をつくる―環境資源としての水辺計画』（都市の環境デザインシリーズ、1999年）などがあります。

技術士（建設部門）の資格も有しており、研究、教育、実務、社会活動の多方面から、日本の緑地環境科学の発展に貢献し続けています。

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