藤間紀子

藤間紀子：高麗屋を支えた女性実業家の生涯

藤間紀子氏は、1945年11月11日、福岡県福岡市で医師の家庭に生まれました。福岡女学院中学校・高等学校、慶應義塾大学文学部を卒業後、華麗なる歌舞伎界へと足を踏み入れます。

高麗屋との関わり

彼女の生涯を語る上で欠かせないのが、歌舞伎界の名門「高麗屋」との深い関わりです。夫は、歌舞伎役者の二代目松本白鸚。女優の香川京子さんを介して知り合った縁は、やがて生涯の伴侶となるだけでなく、高麗屋を陰から支える大きな力となります。

紀子夫人は、単なる妻としてだけでなく、株式会社松本幸四郎事務所の社長として、夫の芸能活動はもちろん、高麗屋の運営に大きく貢献しました。その手腕は、芸能界のみならず、ビジネスの世界でも高く評価されています。

家族と芸能界

紀子夫人の家庭は、まさに芸能一家。夫である二代目松本白鸚との間に、当代十代目松本幸四郎、女優で演出家の松本紀保、そして国民的歌手の松たか子という、日本を代表する芸能人を生み出しました。さらに、孫には八代目市川染五郎がおり、その一族の芸能界への貢献は計り知れません。

献身的な母親像

華やかな芸能界を舞台に、夫を支え、3人の子供を育て上げた紀子夫人の姿は、多くの人の共感を呼びます。特に子供たちへの教育には熱心に取り組み、それぞれの才能を伸ばすために尽力しました。子供たちの成功の裏には、母親としての献身的な努力があったと言えるでしょう。

彼女の温かい家庭環境は、子供たちの個性と才能を育む温床となりました。そして、その家族の絆は、日本の伝統芸能である歌舞伎を次世代へと繋ぐ力となっているのです。

著書を通して

紀子夫人は、自身の経験や考えをまとめた著書を数多く出版しています。『満点ママさわやかママのおつきあい学』では、家庭生活における知恵を、『高麗屋の女房』では高麗屋での生活や歌舞伎界の裏側を、『私のきもの生活』では着物への深い愛情を綴っています。これらの著書は、多くの人々に読み継がれ、影響を与え続けています。

まとめ

藤間紀子氏は、単なる実業家、そして妻や母という枠を超え、日本の伝統芸能である歌舞伎を支え、次世代へと繋ぐ重要な役割を果たした人物です。その生涯は、家族の絆、日本の伝統文化、そして女性の社会進出という様々なテーマを考える上で、重要な示唆を与えてくれます。彼女の生き様は、これからも多くの人々に刺激と勇気を与え続けることでしょう。

年譜

1945年：福岡県福岡市に生まれる。
1969年12月：六代目市川染五郎（のちの九代目松本幸四郎、二代目松本白鸚）と結婚。
1971年：長女紀保子出産。
1973年：長男照薫（のちの十代目松本幸四郎）出産。
1977年：次女たか子出産。
1998年：次女たか子の初主演映画「四月物語」が公開。

著書

『満点ママさわやかママのおつきあい学』（旺文社、1985年）
『高麗屋の女房』（毎日新聞社、1997年）
* 『私のきもの生活』（文化出版局、2003年）

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