藻場

藻場（もば）

藻場とは、主に沿岸域に形成される海草や海藻の群落を指し、これらの生物は多様な生態系を構成しています。日本の藻場は、海草と海藻の2つのタイプに分けられます。海草の藻場はアマモなどの被子植物でできており、日本の藻場面積の約16%を占めています。一方、海藻の藻場は、ホンダワラ、アラメ、カジメ、コンブなど様々な海藻によって形成されます。

特徴と生態

藻場は陸上の森林と比べるとバイオマスでは劣りますが、純生産量は藻場の方が高いことが特徴です。陸上の温帯林では最大3kg/m²/年ですが、藻場では3〜8.3kg/m²/年に達します。この理由は、海藻が豊富に含むクロロフィルやカロテノイド類に起因し、太陽光を効率的に吸収できるためです。また、藻場では水流による揺れも光合成を助けます。

藻場は魚類や甲殻類の隠れ場所や産卵地になっており、生物多様性が高いエコシステムです。海草は根や地下茎で海底を安定させ、土壌の劣化を防ぐ役割も担っています。さらに、藻類や付着した微細藻類は窒素やリンを吸収し水の浄化にも寄与します。

微生物との関係

藻場周辺には、微細藻類や真菌、バクテリアも生息しています。これらの微生物は、藻場の生態系において重要な役割を果たし、有機物の分解や栄養循環に寄与しています。藻類や微細藻類は光合成を行い、藍藻類は窒素固定を行うなどの機能があります。

藻場の減少とその対策

近年、藻場は様々な要因により減少傾向にあります。埋め立てや浚渫による生育場の減少、海水の富栄養化によるプランクトンの増殖、温暖化の影響などが挙げられます。日本では1978年から1998年の間に藻場の面積が約3割減少しました。

回復と保護のために、ウニ類の除去や鉄分の供給などの対策が講じられています。これにより、藻場の環境が改善され、生態系の回復が期待されています。

ブルーカーボンと藻場の未来

2000年代以降、藻場はブルーカーボンとしての視点からも注目されています。これは、藻場が二酸化炭素を大量に固定する能力を持つためで、気候変動対策の一環としても評価されています。

藻場は、生態系の維持や環境保全において重要な役割を果たしており、未来の持続可能な海洋環境を形成する上で欠かせない存在です。

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