蘇芳色

蘇芳色（すおういろ）とは

蘇芳色とは、黒みを帯びた深みのある赤色のことです。蘇芳とは、インドやマレー原産の染料植物で、その心材や莢に含まれるブラジリンという赤色色素を用いて染められます。この色素をアルカリ性の水溶液で媒染すると、独特の赤紫色が現れます。

蘇芳という植物

蘇芳はマメ科の植物で、学名はBiancaea sappanといいます。マレー語ではpokok sepang、中国語ではsufangと発音されます。この植物の心材や莢には、ブラジリンという赤色の色素が含まれており、これが染料として利用されます。媒染剤によって染め上がりの色が変わり、明礬を使用すると鮮やかな赤色に、木灰などのアルカリ性水溶液を使うと赤紫色に、鉄を使用すると黒っぽい紫色（似紫）に染まります。

歴史の中の蘇芳色

蘇芳は、古くから中国などで毛織物や絹織物の染色に使われていました。また、木材を蘇芳で染めて、高価な紫檀の模倣品を作ることも行われていました。日本には奈良時代頃に渡来し、独立した染料としてだけでなく、紅や紫根の代用品としても貴族社会で非常に愛好されました。

蘇芳は、染料としてだけでなく、日本画の絵具としても用いられました。蘇芳花あるいは蘇芳泡と呼ばれる絵具は、蘇芳の心材を煎じ詰めたものを陶器などに塗って乾燥させて作られました。

襲の色目にも蘇芳は登場します。樹の断面を模した表が薄茶色、裏が赤色の組み合わせで、通年使用できる重ねの色目として用いられました。

JISにおける定義

日本工業規格（JIS）では、蘇芳色はJIS慣用[[色名]]の1つとして定義されています。具体的なマンセル値は、JIS規格に定められています。

蘇芳色の近似色

蘇芳色に近い色としては、以下のようなものがあります。

赤
紫
赤紫
似紫
えんじ[[色]]
マルーン
ピュース

蘇芳色のまとめ

蘇芳色は、歴史と文化の中で愛されてきた、独特な深みのある赤色です。染料植物である蘇芳の恵みによって生まれたこの色は、様々な形で人々の生活を彩ってきました。

関連事項

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