虚構推理

『虚構推理』について

『虚構推理』（きょこうすいり）は、城平京によって2011年から刊行されている日本のミステリー小説シリーズです。第12回本格ミステリ大賞の小説部門を受賞し、2012年に本格ミステリ・ベスト10で4位に選出されたことからも、その評価の高さが伺えます。2023年5月時点で500万部以上の累計発行部数を誇り、多くの読者に支持されています。

物語の中心

本作の主人公は岩永琴子という大学生で、彼女は怪異たちの知恵を司る神としての宿命を背負っています。琴子は彼女の恋人である桜川九郎と共に、怪異に関するトラブルを解決しながら平穏な日常を送ります。物語は、真倉坂市で暴れていた「鋼人七瀬」という怪異を巡る事件から幕を開けます。

あらすじ

琴子の元に、真倉坂市に出現した怪異「鋼人七瀬」に関する相談が寄せられます。琴子は現地に赴き、そこで九郎の元恋人である警官の弓原紗季と協力をすることになります。一方、九郎も従姉の六花を探す途中で鋼人七瀬と遭遇しますが、力を持つこの怪異に対処することができません。

琴子と紗季は九郎と合流し、鋼人七瀬を退治するための作戦を練り始めます。ただ、鋼人七瀬の恐怖は増す一方で、警察官が命を落とす事件も発生します。琴子は六花が運営するまとめサイトが鋼人七瀬の実体化に寄与していると気づき、そこから彼女は4つの「虚構の推理」を紹介し、閲覧者に「鋼人七瀬は実在しない」という認識を植え付けることで、鋼人七瀬を消滅に導こうとします。

登場人物

• - 岩永琴子：シリーズの主人公で、大学生。人間でありながら怪異たちの知恵を司る神と契約しています。美少女だが一癖ある性格。
• - 桜川九郎：琴子の彼氏で、不死身の体を持つ大学院生。琴子と共に怪異に立ち向かいます。
• - 弓原紗季：真倉坂市の警官で、九郎の元恋人。琴子と共に怪異の対処に協力します。
• - 桜川六花：九郎の従姉で、不死の体と未来を決定できる能力を持つ。
• - 寺田徳之助：真倉坂警察署の刑事で、鋼人七瀬の事件を追いかけています。

作風とテーマ

本作品は「虚構」というテーマが強く、事件の真実よりも人々をどのように納得させるかが重点に置かれています。著者の城平京は、不条理な状況下でも全てが収束する世界観に興味を持ち、このシリーズの着想を得ました。第1作では、幽霊や妖怪の実在を描きながらも、真相を明らかにした後にさまざまな嘘を用意し、どのように解決されるかを示します。これにより、ミステリとは何かという議論を喚起しました。

メディア展開

シリーズは2015年から『少年マガジンR』でコミカライズが行われ、アニメ化もされ、多岐にわたるメディア展開をしています。原作のストーリーがアレンジされながら進行し、読者に琴子の魅力を高めるための工夫もなされています。さらには2020年に放送されたアニメ第1期は好評を博し、第2期が2023年に登場しています。これにより、作品は小説や漫画だけでなく、映像メディアとしてもファンの心をつかんでいます。

『虚構推理』は、ただのミステリーにとどまらず、怪異との心理戦や対人関係の重要性を浮き彫りにし、独特の世界観とキャラたちの成長を描いています。その魅力をぜひ体験してみてください。

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