虹色のSneaker

林原めぐみ「虹色のSneaker」：声優界のパイオニア的シングル

1991年3月5日、スターチャイルドより発売された林原めぐみのシングル「虹色のSneaker」は、彼女の個人名義としては2作目にあたります。8cmCDとカセットテープの2形態でリリースされ、オリコンチャート最高位43位、1万1千枚というセールスを記録しました。当時、声優が個人名義で楽曲を発表することは非常に稀なことであり、「虹色のSneaker」は声優界における大きな一歩となりました。

特筆すべきは、このシングルが林原めぐみにとっての公式デビューシングルとされている点です。彼女はこれ以前にポリドールから「約束だよ」というシングルを発表していますが、公式発表では「虹色のSneaker」がデビューシングルとされています。メジャーレーベルであるポリドールからのリリースを含めると、1stシングルがデビューシングルではない、という稀有なケースと言えるでしょう。

「虹色のSneaker」は、アルバム『Half and, Half』の先行シングルとして制作されました。その軽快なメロディーと、林原めぐみ自身の透明感のある歌声が見事に融合した、アップテンポな楽曲です。作詞は辛島美登里、作曲は村瀬恭久が担当しており、二人の才能が光る、聴き応えのある仕上がりになっています。

さらに注目すべき点は、この楽曲が林原めぐみ自身のラジオ番組『林原めぐみのHeartful Station』の主題歌として、約12年間に渡り使用されたことです。放送開始から約1ヶ月後に発売されたこのシングルは、番組開始当初はオープニングとエンディングの両方で、その後はオープニングテーマとしてインストゥルメンタルバージョンが2015年の番組終了まで使用され続けました。番組の象徴的な存在として、リスナーに長きに渡り愛された楽曲であることが分かります。2003年秋にエンディングテーマは「負けないで、負けないで…」に変更されましたが、オープニングテーマとしての「虹色のSneaker」への愛着は、番組終了まで続いたのです。

カセットテープ版には、B面に「虹色のSneaker」とカップリング曲「恋のScramble Race」のインストゥルメンタルバージョンが収録されています。このインストゥルメンタルバージョンは、ラジオ番組で頻繁に使用され、多くのリスナーに親しまれたことでしょう。

カップリング曲の「恋のScramble Race」は、西脇唯による作詞で、アップテンポな楽曲ながら、「虹色のSneaker」とはまた違った魅力を持つ、聴きごたえのある一曲です。

「虹色のSneaker」は、単なるシングル曲にとどまらず、林原めぐみのキャリア、そして声優界における一つのランドマークとして、音楽史に刻まれたと言えるでしょう。その軽快なメロディーと、長く愛されたラジオ番組との結びつきは、この楽曲の持つ特別な魅力を物語っています。当時としては画期的な試みであり、声優の音楽活動の可能性を広げたという意味でも、重要な作品と言えるのではないでしょうか。このシングルは、林原めぐみの音楽活動の出発点であり、彼女の多才な魅力を改めて認識させてくれる、貴重な一枚です。

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