螺旋 (ヴァンゲリスのアルバム)

アルバム『螺旋』について

『螺旋』は、1986年にリリースされたヴァンゲリスによるアルバムで、その音楽は新たな感覚をもたらす独自のスタイルで知られています。このアルバムは、彼のキャリアにおける重要な位置を占めるものであり、前作『反射率0.39』に続く第三弾の作品です。

アルバムの特徴

アルバムのジャケットデザインは、ヴァンゲリス自身が手掛けており、オーディオ用のプラグが装備されたカール型のコードが青空の中を螺旋状に進んでいく様子を描写しています。このビジュアルは、アルバムのテーマである「螺旋」を象徴しています。また、ジャケットの下部には「Going on means going far Going far means returning (TAO TE-CHING)」という言葉が掲げられており、これは古代中国の思想家である老子の著作から引用された見解です。このフレーズの意図するところは、広がり続けることが遠ざかり、遠ざかるほど再び回帰するという哲学的な考察が示されています。

収録曲

アルバム『螺旋』には、以下のトラックが収められています：

• - 螺旋 - Spiral (6:56)
• - バラッド - Ballad (8:25)
• - 托鉢僧D - Dervish D (5:13)
• - 見知らぬ男 - To The Unknown Man (9:03)
• - 3+3 (9:35)

特に、トラック「見知らぬ男」については、日本盤では邦題が付けられていますが、誤訳が含まれているとされ、本来は「名も無き者へ」と訳されるべきとの指摘があります。

シングル情報

このアルバムのリリースに合わせて、シングルも発売されました。特に『To The Unknown Man』は、欧米で発表されたシングルで、収録内容が欧州盤と米国盤で異なる点が特徴的です。欧州盤ではA面がアルバムの「見知らぬ男」の抜粋、B面にはアルバム未収録の「Part Two」が収録されています。このB面の曲は非常に貴重で、後のアルバムには収録されていないため、「幻の曲」として珍重されています。

他のアーティストとの関連

このアルバムの一部の旋律は、他のアーティストによっても再使用されています。たとえば、ドイツの歌手ミルバは「見知らぬ男」からの旋律を自身のアルバムに歌唱として含めており、日本ではみなみらんぼうが同様の旋律を用いて「見知らぬ男」としてリリースしています。

まとめ

『螺旋』は、ヴァンゲリスの音楽における革新的な試みと、深い哲学的なメッセージを体現した作品です。音楽のみならず、ビジュアルやコンセプトにまで彼の独自性が反映されており、リスナーにとって忘れがたい体験を提供します。再評価されるべき名盤と言えるでしょう。

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