血ぬられた墓標

血ぬられた墓標

『血ぬられた墓標』（原題：La maschera del demonio）は、1960年に公開されたイタリアのホラー映画であり、ニコライ・ゴーゴリの短篇小説『ヴィイ』を元に制作されました。監督はマリオ・バーヴァであり、彼のデビュー作として特筆される作品でもあります。また、この映画は主演のバーバラ・スティールにとって重要な出世作となり、後にホラー映画の女王と称されるようになりました。

あらすじ

物語は17世紀のバルカン地方を舞台にしています。王女アーサは魔術の罪で処刑される際、彼女の家族に永遠の呪いをかけるという恐ろしい宣告を残しました。それから約200年後、医師のクルヴァヤンとその助手ゴロベックは、モスクワでの医学会に参加するために移動している途中、馬車の車輪が外れるトラブルに遭遇します。車輪の修理を待っている間、二人は不気味な狼のような鳴き声に惹かれ、古びた館の中へと足を踏み入れます。

館内で彼らが見つけたものは、石棺の中に横たわる美しい女性の姿でした。驚くことに、その瞬間、大きな蝙蝠が飛び出し、クルヴァヤンは反射的にピストルを発射します。その影響で、棺の十字架が倒れ、のぞき窓が割れたことにより、彼の血が棺の中の美女に滴り落ちます。すると、驚くべきことに、その美女が甦ったのです。実は彼女は、200年前に処刑されたアーサそのものでした。

二人は逃げようとしますが、館の入口でアーサに似た別の美女、カティアに出会います。カティアはアーサの曽孫であり、実はアーサの死霊がカティアになりすましていたのです。アーサは、彼女を処刑した一族に復讐を開始することになります。ゴロベックはカティアをアーサの魔の手から救おうと果敢に立ち向かうのですが...

キャスト

この映画には多くの魅力的なキャラクターが登場します。アーサとカティアの二役を務めるのはバーバラ・スティール。彼女の演技力は目を見張るものがあり、物語を引き立てています。その他のキャストには、アンドレイ・ゴロベックを演じるジョン・リチャードソン、アーサの一族の一員であるヴァイダ役のイヴォ・ガラーニや、クルヴァヤン医師役のアンドレア・ケッキがいます。さらに、ヤヴティッチ公を演じるアルトゥーロ・ドミニチも存在感を放っています。

脚注

本作は、イタリアのゴシックホラー映画の歴史において重要な位置を占めています。特に、バーヴァ監督の手法や表現は後のホラー映画に大きな影響を与えました。映画のスタイルやビジュアルは、まさに独特の魅力を放っており、視覚的にも聴覚的にも観客を惹きつけます。

この映画は1989年にマリオ・バーヴァの息子、ランベルト・バーヴァによって『デモンズ5』としてリメイクされるなど、時を超えた影響力を持ち続けています。

ホラー映画ファンにとっては必見の一作であり、当時の映像技術や演出を楽しむことができる貴重な作品と言えるでしょう。

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