血の日曜日事件 (リトアニア)

血の日曜日事件（いちがつじけん）

概要

血の日曜日事件は、1991年1月13日にリトアニアで発生した、国家独立を支持する市民とソ連軍との暴力的な衝突を指します。この事件は、リトアニアがソ連からの独立を求めた時期に起き、結果として14名の市民が命を失い、700名以上が重傷を負いました。

背景

リトアニアは1939年からソ連に併合され、長い間その支配下にありました。しかし、1980年代に入ると、ミハイル・ゴルバチョフの自由化政策の影響を受け、当地で独立を求める動きが活発化しました。1990年3月11日にはリトアニア共和国最高会議が国家独立回復法を採択、独立を宣言しました。

この独立宣言はソ連にとって脅威と見なされ、ゴルバチョフはリトアニアに対して経済封鎖や軍事力行使の脅しを続けました。1月10日、ゴルバチョフはリトアニア政府に対し、過去の状態に戻るよう最後通牒を送りました。この要求は拒否され、1月12日にはソ連軍の戦車がヴィリニュスに向かって進軍を開始しました。

血の日曜日

1991年1月13日、ソ連軍がヴィリニュスのテレビ塔や無線局を襲撃し、そこにいた市民への攻撃を開始しました。リトアニア人たちはこの攻撃に抵抗し、激しい戦闘が繰り広げられました。市民は自らの命をかけて独立を守るために立ち向かい、多くの人々が弾圧の中で命を落としました。この日の午後には、ソ連軍が占拠した施設への襲撃が行われましたが、無線局のスタッフが「自由を放棄することは決してない」とメッセージを伝えました。

その後の影響

この事件はリトアニアの独立運動を決定的に強化することとなります。また、国際的な非難も集まり、リトアニアの独立への支持が高まりました。1月14日には、ソ連の行動を非難する抗議集会がモスクワで行われ、ボリス・エリツィンのような支持者も現れました。

しかし、事件から約30年の今もなお、当時の処罰が行われず責任者の引き渡しも拒否され、未解決のままとされています。

また、事件後にリトアニア国民は改めて独立を確認する国民投票を行い、圧倒的な支持を得て独立を確保しました。その結果、国際的にも独立が正式に承認され、リトアニアは国連にも加盟することとなります。このような歴史的事件は、リトアニアにとって今もなお重要な意味を持ち続けています。

ゴルバチョフの責任とその後

一方で、当時のソ連の指導者であるゴルバチョフは、この事件における自らの責任を否定し続けました。リトアニアの司法機関は、その後の裁判で責任者を訴追し、国際的に非難される状況が続きました。ゴルバチョフ自身は事件の関与を否定し続ける一方で、独立運動を支えるリトアニア国民には閣僚たちへの責任を押し付けました。

このような出来事は、国際法や人権に対する重要な課題を提示し、歴史として記憶され続けるでしょう。

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