行くぜっ!怪盗少女

ももいろクローバー『行くぜっ！怪盗少女』

ももいろクローバーのメジャーデビューシングルとして2010年5月5日にリリースされたのが『行くぜっ！怪盗少女』です。この曲は、作詞・作曲をヒャダインこと前山田健一が手掛け、アニメ映画『ルパン三世 カリオストロの城|ルパン三世_カリオストロの城』を彷彿とさせる世界観が特徴です。大胆な転調がメロディーラインの特徴であり、歌詞にはプロレス技の「ソバット」が取り入れられ、振り付けにも反映されています。

楽曲の特徴と初期の評価

この曲は、後にグループの代表曲と評されるようになりますが、発売当初は、インディーズ時代との曲調の違いから、ファンから戸惑いの声も聞かれました。初動の売り上げは2万枚程度にとどまり、テレビ番組への出演も限られていましたが、NHK『MUSIC JAPAN』への出演がきっかけとなり、他のアイドルファンにもグループの存在が知られるようになりました。HMV渋谷店の副店長であった佐藤守道が、この番組でのパフォーマンスに感銘を受け、大々的な特集コーナーを設けたことも話題となりました。後に佐藤氏は、ももいろクローバーのスタッフとなり、グループの音楽性を支える重要な役割を担うことになります。

グループの成長とともに変化した楽曲の評価

発売当初は、一般層への浸透が遅れ、累計売り上げも3万枚に届きませんでしたが、翌年、「ももいろクローバーZ」への改名と同時にグループの知名度が向上すると、この曲にも再び注目が集まりました。2012年にはPC配信シングルとしてゴールド認定を受け、楽曲配信サイトmoraでは2013年の年間ダウンロードランキングで、ミュージックビデオ部門の1位を獲得しました。また、プロ野球選手の登場曲としても使用されるようになり、柳田悠岐選手などがこの曲を使用しています。

さらに、2016年には配信開始から6年の時を経て、PC配信シングルとしてダブル・プラチナ認定を達成するなど、長期にわたって人気を維持しています。

バージョンの変遷

メンバーの脱退や卒業に伴い、この楽曲には様々なバージョンが存在します。

5人バージョン：早見あかり脱退後の5人バージョンは、アルバム『バトル アンド ロマンス』に収録。歌詞や編曲が一部変更されました。NHK紅白歌合戦では、脱退した早見あかりへの敬意を込めて、6人バージョンの歌詞の一部を歌唱しました。
4人バージョン（ZZ ver.）：有安杏果卒業後の4人バージョンは、編曲をinvisible mannersが担当。楽曲アレンジを一新し、「行くぜっ！怪盗少女 -ZZ ver.-」として制作されました。イントロのラップ部分が変更されるなど、新たな魅力が加わっています。

カップリング曲『走れ！』

シングルには、『走れ！』も収録されています。この曲は、『全力少女』、『オレンジノート』とともに3部作として制作されました。レコード会社側は『走れ！』をメイン曲にする方針でしたが、マネージャーの説得により、『行くぜっ！怪盗少女』がメインとなりました。この価値観の違いが、後のレコード会社移籍のきっかけにもなりました。映画『モテキ』の挿入歌として起用されたことで、多くの人に知られるようになり、ライブでの一体感が魅力の楽曲です。

『走れ！』の特徴とライブでの演出

『走れ！』は、ライブで演奏される際、最後のサビで照明が消え、ペンライトだけで会場が埋め尽くされる演出が特徴です。この光景は、観客と一体となった空間を作り出し、ライブの人気曲となっています。東京大学准教授の安西信一は、この現象を「“体”の不思議な繋がりの力」と表現しています。

『走れ！』の変遷とカバー

『走れ！』もまた、メンバーの変遷とともに様々なバージョンが存在します。

Z ver.：早見あかり脱退後の5人バージョン。
ZZ ver.：有安杏果卒業後の4人バージョン。
PLAY ACTIVE！2022 ver.：新たなアレンジバージョンで、初めてミュージックビデオが制作されました。

また、『走れ！』は、多くのアーティストによってカバーされています。プロ野球選手の登場曲としても使用されるなど、幅広く親しまれています。

収録内容

シングルには、以下の楽曲が収録されています。

1. 行くぜっ！怪盗少女
2. 走れ！
3. 行くぜっ！怪盗少女 (off vocal ver.)
4. 走れ！ (off vocal ver.)

初回限定盤はメンバー別にジャケットが異なり、メンバーカラーのディスクが付属しています。2012年には、『行くぜっ！怪盗少女 〜Special Edition〜』として再発売され、ミュージックビデオを収録したDVDが付属しました。

カバー

両楽曲ともに、数多くのアーティストにカバーされています。

行くぜっ！怪盗少女：GILLE、堀裕子（鈴木絵理）、片桐早苗（和氣あず未）、及川雫（のぐちゆり）、Happy Around!
* 走れ！：FUTURE'S、ロッカジャポニカ、加瀬友香（佐倉綾音）、宗谷いちか & 角巻わため、久川颯（長江里加）、乙倉悠貴（中島由貴）



『行くぜっ！怪盗少女』と『走れ！』は、ももいろクローバーの歴史を語る上で欠かせない重要な楽曲です。初期の戸惑いを乗り越え、多くの人に愛される楽曲へと成長した過程は、ももいろクローバーの成長の軌跡そのものと言えるでしょう。

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