行け!!南国アイスホッケー部

『行け!!南国アイスホッケー部』は、久米田康治による日本の漫画作品。週刊少年サンデーに1991年から1996年まで連載されました。単行本は少年サンデーコミックス全23巻、ワイド版全11巻で刊行されています。

概要・あらすじ

本作は、カナダからの帰国子女である蘭堂月斗を中心に、様々なギャグが展開される漫画です。物語は、アイスホッケーをしていた時期と、そうではなくなってからの時期で大きく分けることができます。

物語の変遷

単行本4巻まで

アイスホッケー選手だった蘭堂月斗が、弱小アイスホッケー部の助っ人として浜津学園高校に転校してきます。月斗の加入によってアイスホッケー部は徐々に強くなっていきますが、様々な問題が巻き起こるスポーツコメディです。初期は比較的リアルな人物造形と、鹿児島弁を話すキャラクターが特徴的でした。

単行本4巻以降

4巻を境に、アイスホッケーはほとんど行われなくなり、月斗中心の下ネタギャグ漫画へと変化します。有名人をもじった一発キャラクターが登場し、下ネタギャグが繰り広げられます。表現は軽いものの、同性愛に関する過激な描写が含まれる話は、ワイド版には収録されませんでした。また、ラブコメ風の展開やダジャレも多く見られました。

物語後半では、アイスホッケー部員がほとんど登場しなくなり、絵柄も大きく変化。線の強弱が失われ、デフォルメ化が進み、無機質的な人物造型へと変わっていきました。この頃の絵柄は、後の久米田作品の原型となっています。

特徴

絵柄の変化が非常に激しいことが特徴です。連載が進むにつれて線が細くなり、終盤ではシャープな線で脚や首が非常に長くなりました。作者自身も、作中で絵柄の変化をネタにしています。初期と最終回の絵柄を比較すると、全く別の画風に見えます。このような絵柄の変化は、『かってに改蔵』や『育ってダーリン!!』にも共通しています。

また、連載中期から、共通するものを列挙するネタが行われるようになり、『かってに改蔵』や『さよなら絶望先生』へと繋がる形を確立しました。社会風刺や作家いじりなどのネタも、この頃から登場しています。

主な登場人物

蘭堂月斗: 主人公。カナダからの帰国子女。アイスホッケー選手として活躍していましたが、卑怯なプレイによって追放されます。物語が進むにつれて自堕落な生活を送るようになり、変態行為を繰り返すようになります。
岡本そあら: ヒロイン。アイスホッケー部のマネージャー。気が強く、ツッコミ役を担当。月斗のことが好きですが、行動は一貫していません。ダイエーファンで、成績優秀。
天草健太郎: アイスホッケー部の部長。アイスホッケーをやらなくなってからもキャプテンと呼ばれています。珍獣やオカルトのマニア。
朝霧舞子: そあらの友人。巨乳美人で、ミス浜津にも選ばれています。天草のことが好き。
ロブ・ドールマン: 交換留学生。月斗と同様にカナダのホッケー界を追放されました。暴力沙汰が原因。
鈴木保奈男: アイスホッケー部員。女性に対する淫らな行為が多く、下着泥棒が得意。
伊藤未来男: アイスホッケー部員。包茎であることを気にしています。
風間圭介: アイスホッケー部コーチ。元アイスホッケー選手。スケベな性格。
財部光三: 理事長。アイスホッケーが好きで、強引にアイスホッケー部を作りました。
亀頭雁男: 古典教師。通称「カンニングハンター亀」。
* 毒田: そあらのおじ。マッドサイエンティスト。タイムマシーンを作ることができます。

単行本

小学館より全23巻が刊行されました。ワイド版として全11巻も刊行されていますが、一部削除された箇所があります。

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