街頭テレビ

街頭テレビとは

街頭テレビとは、不特定多数の人が集まる場所に設置された、無料で視聴できるテレビ受像機のことです。有料のものはコインタイマーが付属していました。

街頭テレビ設置の背景

日本でテレビ放送が開始されたのは1953年。しかし、当時のテレビ受像機は非常に高価で、一般家庭にはなかなか普及しませんでした。そこで、日本テレビの社長であった正力松太郎は、テレビ放送を広告媒体として成功させるため、街頭テレビの設置を推進しました。

街頭テレビの普及

1953年8月の日本テレビ放送開始に先駆け、新橋駅西口広場や新宿駅など、首都圏の主要な場所に220台もの街頭テレビが設置されました。当時の人々は、小さな画面に釘付けになり、特にプロレスやボクシング、大相撲、プロ野球といった人気番組の中継には、多くの観衆が殺到しました。正力は、街頭テレビの視聴者数をアピールすることでスポンサーを説得し、日本テレビは開局からわずか7ヶ月で黒字化を達成しました。

街頭テレビはその後も増設され、全国各地に設置されました。1956年には、大阪テレビ放送（現在の朝日放送テレビ）が開局した際にも、京阪神の主要都市に街頭テレビが設置され、テレビの普及に貢献しました。また、民放テレビ局だけでなく、テレビ受像機メーカーや販売店も、宣伝目的で街頭テレビを設置し、自社製品の優位性をアピールしました。

家庭への普及と街頭テレビの衰退

街頭テレビの影響もあり、テレビ受像機は徐々に一般家庭にも普及していきました。特に1958年の東京タワー竣工とミッチー・ブームは、テレビ普及を加速させました。当初、街頭テレビはカラーテレビの普及にも貢献しましたが、1964年の東京オリンピックを機に、カラーテレビが各家庭に普及すると、街頭テレビは当初の目的を失い、次第に衰退していきました。

現在の街頭テレビ

現在では、街頭テレビという形での設置はほとんど見られなくなりましたが、主要駅のコンコースや商業施設の休憩所などに、テレビや複数のチャンネルが見られるモニターが設置されていることがあります。これは、テレビ局やケーブルテレビ事業者が、サービス宣伝の目的で行っているものです。また、1980年代から2000年代初頭にかけては、ハイビジョンの普及目的で、公共の場所に受像機が設置されたこともありました。

まとめ

街頭テレビは、テレビ黎明期において、テレビを一般の人々に広める上で大きな役割を果たしました。現在ではその姿を見ることは少なくなりましたが、テレビの歴史において、重要な存在であったことは間違いありません。

関連情報

• - ラジオ塔
• - パブリックビューイング
• - テレビカー
• - あいりん地区 - 現在も萩之茶屋南公園（三角公園）にて街頭テレビが設置されている。

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