衛所

衛所（えいしょ）についての概要

衛所は、明代の内地における軍事組織の一形態で、十進法に基づいて運営されていました。この組織は、唐代の府兵制を模範としており、兵と農の連携を重視した構成が特徴です。衛所は、明代の軍事体制において非常に重要な役割を果たしていました。

組織構成

衛所は、役割や規模に応じてさまざまな部隊に分かれています。規模の大小によって、十戸所、百戸所、千戸所、さらには五つの千戸所を統括する衛という形で構成されます。衛は大きく分けて以下の3種類に分類されます：

1. 親軍衛 - 兵部に属する主力部隊。
2. 京衛 - 五軍都督府の下に位置し、首都を守る役割を担います。
3. 外衛 - 各都指揮使司の下に配置され、全国に展開されています。

このように、多層的な階層で構成され、都司は中央の五軍都督府に属していて、五府は兵部の指揮の下で機能しています。

五軍都督府

明代の軍隊の中核を成すのが五軍都督府です。これは中軍、左軍、右軍、前軍、後軍の5つの軍によって構成されます。これにより、国防が有効に行われ、戦闘の準備が整えられました。さらに、衛所には兵士を指揮するための指揮使や千戸、百戸などの階級が設定され、組織内の指揮系統が明確化されています。

衛所の活動

衛所の主な活動は、戌軍としての守備や守城活動です。これには捕盗、辺防、海防などが含まれ、国の治安維持に寄与しています。また、屯田行為が経済的な基盤となっており、農業を通じて軍の兵糧を確保する役割も果たしています。しかし、これだけでなく、漕運活動や班軍活動も行う衛所が多数存在し、多様な任務をこなしていました。

兵士とその集め方

衛所で用いられる兵士はさまざまな方法で集められます。たとえば、太祖起兵時の基本部隊や明初に降伏していた元の軍、さらには罪を犯した者が軍に編入される場合もあります。さらに、一般家庭から一人の兵士を徴兵する制度（家族の五丁や三丁から一名徴兵）もあり、地域社会から広範に兵士が集められました。

外衛における兵士は、以下のような区別があります：

• - 屯軍 - 农業を通じて軍需供給を担当。
• - 運軍 - 水運業務に従事。
• - 戌軍 - 守備活動を担当。
• - 班軍 - 都の勤務や辺境で交替に勤務。

このような多様な任務により、軍戸は常に従軍や労役に従事し、さらに屯田を通じて物資供給にも寄与しなければなりませんでした。しかし、負担が大きく、結果として多くの軍戸は疲弊し、最終的には没落を余儀なくされることもありました。

軍籍と民籍の区別

明代において、軍籍は民籍と厳格に分けられており、一度軍籍に組み込まれると、離脱はほぼ不可能でした。ほとんどすべての軍戸は、代々にわたってその役割を継続することが求められました。このため、多くの軍戸は生活の困難から逃れようとし、田畑を売り払い、逃散する者が後を絶ちませんでした。衛所制度は明の後期には衰退していき、明代の軍事組織の一手法として記憶されることとなります。

まとめ

このように、衛所は明代の軍事組織の重要な一部であり、兵農一致の制度を基盤にしていました。しかし、負担の大きさや制度の複雑さから、次第にその影響力と機能は衰退していく運命にありました。

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