衝脈

衝脈（しょうみゃく）は、人体の経絡 system における奇経八脈の一つであり、十二正経とは異なる特別な経路です。「経脈の海」または「血海」とも呼ばれ、体内のエネルギーと血液の循環において重要な役割を果たします。

衝脈の走行

衝脈は、任脈とともに少腹（下腹部）の内部、具体的には胞中（子宮）から起こるとされています。そこから浮き上がり、体表に現れるのが気衝穴です。気衝穴から足の陽明経と少陰経の間を並行して上行し、腹部を通り、横骨穴に至ります。その後、臍の両側5分（約1.5cm）のところを上行し、大赫穴、気穴、四満穴、陰交穴、中注穴、肓兪穴、商曲穴、石関穴、陰都穴、腹通谷穴、幽門穴といった経穴を経由して胸中に至り、そこで散じるとされています。

経穴の順番:

気衝穴 → 横骨穴 → 大赫穴 → 気穴 → 四満穴 → 中注穴 → 肓兪穴 → 商曲穴 → 石関穴 → 陰都穴 → 腹通谷穴 → 幽門穴

衝脈の生理機能

衝脈は、十二経脈の気血を調節し、全身に供給する役割を担っています。特に、女性の生理機能と深く関わりがあり、月経、妊娠、出産などにおいて重要な働きをします。そのため、「血海」という別名が付けられています。また、消化器系の機能とも関連があり、栄養の吸収や老廃物の排出を助けるとも考えられています。

衝脈の臨床応用

衝脈の異常は、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。例えば、月経不順、不妊、消化不良、腹痛などが挙げられます。鍼灸治療においては、衝脈に関連する経穴を刺激することで、これらの症状の改善を目指します。特に、衝脈の宗穴である公孫穴は、消化器系の不調や精神的な不安定さにも効果があるとされています。

まとめ

衝脈は、人体のエネルギーと血液の循環を調節する重要な経絡です。その走行と生理機能を理解することで、鍼灸治療における診断と治療の幅を広げることができます。

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