衣笠球場

衣笠球場（きぬがさきゅうじょう）

衣笠球場はかつて京都府京都市に存在した野球場であり、1948年から1968年までの間、立命館大学の学生たちにとって特別な場所でした。この球場は、上京区（現在の北区）の一角に位置し、スタート当初から地域のスポーツシーンにおいて重要な役割を果たしました。

概要と歴史

1946年、立命館専門学校工学科と馬術講習所の一部を開墾して造成が始まりました。1948年8月31日に、立命館大学硬式野球部の専用場として開設され、当初の名称は「立命館衣笠球場」と呼ばれていました。計画では、野球場だけでなく陸上競技場や多様な球技施設、更にはプールと体育館を含む総合スポーツグラウンドとなる予定でしたが、生徒たちの強い反対により、その計画は中止されました。

この球場は、昭和戦後初期の京都府における主要な球場として、特に西京極球場とともに多くのプロ野球試合が開催されました。特に1950年には、京都市発祥の映画会社・松竹のスポンサーにより、松竹ロビンスの本拠地としての役割を担いました。しかし、大阪球場がナイター設備を導入すると、プロ野球の試合は次第に減少し、衣笠球場での使用はわずか数年で終わってしまいました。

また、松竹ロビンスが大洋ホエールズと合併し「洋松ロビンス」となった1953年から1954年にも、準本拠地として適用されました。この期間中、松竹ロビンスを含むいくつかのチームがこの球場で試合を行い、計66試合が開催されました。具体的な内訳としては、松竹ロビンスが主に48試合を担当し、その他のチームでも数試合が行われました。

球場の変遷とその後

衣笠球場の内野席は木造構造でありましたが、1951年に名古屋の中日スタヂアムで発生した大火災を受け、その安全性が問題視されたため、1952年にプロ野球としての使用が途切れました。以後、使用はアマチュア野球や立命館大学の学生、関西六大学野球連盟の試合などに限られるようになりました。

昭和時代の30年代から40年代中頃にかけて、スタンドやフィールドが次第に取り壊され、大学のキャンパスの一部として整備されていきました。現在、衣笠球場の跡地は、立命館大学衣笠キャンパスの一部として利用されています。具体的には、平井嘉一郎記念図書館や学生会館、中央広場などがこの区域に位置しています。また、周囲の電柱には当時の名残が残り、「衣笠球場」と記された部分も存在しています。

一部の野球ファンにとって、衣笠球場は思い出深い場所であったものの、『立命館百年史』では、学園におけるその役割に対する厳しい評価が下されています。今後もこの地の歴史が語り継がれていくことでしょう。

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