被災市街地復興土地区画整理事業

大規模な自然災害によって壊滅的な被害を受けた市街地の再生、再建を目指して実施される土地区画整理事業です。この事業は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、1995年2月26日に施行された被災市街地復興特別措置法によって創設・規定されました。同法第10条において、被災市街地復興推進地域内の土地区画整理事業としてその位置づけが明確にされています。

本事業は、国の都市再生区画整理事業の一つに位置づけられており、国からの財政的な支援制度が設けられています。通常の土地区画整理事業と比較して、国の補助を受けるための要件が緩和されている点が特徴であり、これは被災地の迅速かつ円滑な復興を後押しするための措置です。

国の助成制度は、阪神・淡路大震災への対応として、1995年2月28日に成立した平成6年度第2次補正予算において一般会計からの助成が創設されたことから始まりました。その後、1999年に土地区画整理事業に関する一般会計補助制度が再編・統合され、都市再生区画整理事業が創設された際に、この事業はその主要な類型の一つとして位置づけられました。さらに、2011年の東日本大震災発生時には、被災地の迅速な復旧・復興を促進するため、本事業が東日本大震災復興交付金事業の一つに明確に位置づけられ、復興交付金を活用した集中的な支援が行われました。

助成の対象となる事業内容は多岐にわたります。主に都道府県、市町村または土地区画整理組合などが施行者となり、事業計画案の作成、大規模な災害からの復興を推進するための土地区画整理事業本体、災害により住宅などを失った権利者などのため仮設住宅などを土地区画整理事業区域内に整備する事業が含まれます。また、緊急防災空地整備事業も対象となります。これは、土地区画整理事業の実施が予定されている地区において、既存市街地の防災性を高めつつ事業の円滑な進行を図ることを目的とし、公共施設となる用地を先行取得して緊急的に防災のための空地を整備するものです。国は、これらの事業に必要な費用に対し、地方公共団体などが行う事業費の半分以内を補助限度額の範囲内で助成します。

施行例

この事業は、主要な大規模災害後の復興において活用されてきました。

阪神・淡路大震災: 1995年の阪神・淡路大震災では、この事業が初めて大規模に適用されました。特に兵庫県神戸市の鷹取東地区をはじめ、市内の広範な地域（約256ヘクタールに及ぶ20以上の地区）で事業が実施され、壊滅的な被害からの市街地再建に大きな役割を果たしました。

東日本大震災: 2011年の東日本大震災の被災地でも、多くの沿岸部市町村で本事業が導入されました。特に、宮城県内では東松島市の野蒜北部丘陵地区における高台移転を伴うもの、石巻市の新門脇地区、女川町の中心部地区、南三陸町の志津川地区、気仙沼市の南気仙沼地区や鹿折地区などで大規模な事業が展開され、津波で失われた市街地の再構築や防災機能の強化が進められました。

* 熊本地震: 比較的新しい事例としては、2016年の熊本地震の被災地でも本事業が適用されています。特に、甚大な被害を受けた熊本県益城町の中央地区では、益城中央被災市街地復興土地区画整理事業が実施され、町中心部の復興計画に基づいた基盤整備が行われています。

このように、被災市街地復興土地区画整理事業は、大規模災害からの市街地復興において重要な役割を担う法制度および支援制度として機能しています。

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