装備施設本部

防衛省装備施設本部（EPCO）の歴史と組織概要

防衛省装備施設本部（Equipment Procurement and Construction Office, EPCO）は、自衛隊の装備品調達や防衛省施設の取得に関する事務を統括する機関として、1954年の防衛庁発足と同時に設置されました。2015年、防衛装備庁への統合により廃止されるまで、長きに渡り日本の防衛力強化に貢献しました。本稿では、EPCOの前身である調達実施本部から、その変遷と組織、主要な役割、そして廃止に至るまでの歴史を詳細に解説します。

調達実施本部 (CPO)時代 (1954年～2000年)

1954年7月1日、保安庁中央調達機構を母体として、防衛庁調達実施本部が設置されました。当初は機能別の分業体制を敷き、副本部長は総務、契約、原価計算を担当していました。設置直後には名古屋支部と大阪支部が開設され、その後、組織は拡大を続けました。霞が関、檜町への移転を経て、組織改編を繰り返し、業務の効率化や防衛力整備計画への対応を進めていきました。1998年には、調達業務をめぐる背任事件が発生し、大きな衝撃を与えました。

主要な出来事

1954年：防衛庁発足と同時に設置。名古屋、大阪支部の開設
1955年：副本部長増設（検査担当）
1956年：霞が関庁舎に移転
1957年：契約担当の分離
1958年：調達管理課、駐在官事務所の設置
1960年：檜町庁舎に移転、原価計算担当の分離
1968年：第3次防衛力整備計画に対応した組織改編
1969年：東京支部の設置
1972年：課の改編、副本部長担当業務変更
1975年：地方機関の組織改編
1998年：調達実施本部背任事件発覚
2000年：防衛省市ヶ谷地区に移転

契約本部 (CCO)時代 (2001年～2006年)

調達実施本部背任事件を契機に、2001年1月6日、調達実施本部は廃止され、契約本部が設置されました。契約と原価計算の業務を分離し、契約業務を契約本部に、原価計算業務を装備局に移管するという組織改編が行われました。地方組織の調達管理事務所も契約管理事務所に改称されました。この改編は、透明性と責任の明確化を図ることを目的としていました。

装備本部 (EPO)時代 (2006年～2007年)

2006年7月31日、契約本部に管理局原価計算部の業務が統合され、装備本部に改組されました。契約業務と原価計算業務の一元化により、装備品のライフサイクル全体のコスト管理を強化することが目的でした。また、背任事件の再発防止策として、内部監査体制の強化なども行われました。地方組織の契約管理事務所も再編されました。

装備施設本部 (EPCO)時代 (2007年～2015年)

2007年9月1日、防衛施設庁の解体に伴い、装備本部は装備施設本部に改組されました。防衛施設庁建設部の事務の一部が統合され、装備品の調達から施設の整備までを一括して管理する体制が構築されました。しかし、地方組織は防衛施設局と統合された地方防衛局に移行し、組織のスリム化が図られました。最終的に2015年9月30日、防衛省設置法改正に基づき、技術研究本部とともに防衛装備庁に統合され、廃止となりました。

廃止時の組織編成

装備施設本部長以下、副本部長（総務、管理、通信誘導、武器需品、艦船車両、航空機、施設担当）と各課、室、調査官から構成されていました。本部長は防衛事務官、副本部長には自衛隊幹部も含まれていました。

まとめ

防衛省装備施設本部は、日本の防衛力維持に不可欠な装備品の調達と防衛施設の整備を担ってきた重要な機関でした。その歴史は、組織改編や事件、そして常に変化する安全保障環境の中で、日本の防衛政策と歩みを進めてきたことを示しています。EPCOの経験と教訓は、現代の防衛装備庁の運営にも活かされていると言えるでしょう。

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