装具

装具（Orthotics）とは

装具とは、事故、病気、戦争などによって四肢や体幹に機能障害を負った際に、その機能障害の軽減を目的として使用される補助器具の総称です。これらの器具は、身体の特定の部位をサポートし、安定させ、動きを補助することで、日常生活における不便さを軽減し、患者の生活の質を向上させる役割を果たします。

装具の種類と特徴

装具は、装着部位や目的によって様々な種類が存在します。一般的に、上肢に装着するものは「シーネ」と呼ばれることが多いですが、下肢に装着するものも「装具」と称されます。これらは両方とも「肢装具」の一種です。装具は、変形の矯正、身体機能の代償、痛みの緩和、関節の保護など、多岐にわたる目的で使用されます。

上肢装具（シーネ）:
ナックルベンダー: 鷲手（わしで）と呼ばれる手指の変形を矯正するために使用される装具です。指の関節を適切な位置に保ち、手の機能をサポートします。
対立副子: 猿手（さるで）と呼ばれる手指の変形を矯正するために使用されます。親指と他の指との対立運動を補助し、物を掴む動作をサポートします。
コックアップスプリント: 下垂手（かすいしゅ）と呼ばれる手首の垂れ下がりを矯正するために使用される装具です。手首を適切な位置に保ち、手の機能をサポートします。

下肢装具:
短下肢装具: 下垂足（かすいそく）と呼ばれる足首の垂れ下がりを矯正するために使用される装具です。足首を任意の角度に固定することができ、歩行を補助します。
整形靴: 足部の変形や機能障害を補正するために、足の形状に合わせて作られた特殊な靴です。足の負担を軽減し、歩行をサポートします。

その他:
コルセット: 体幹をサポートし、腰痛などの症状を緩和するために使用される装具です。体幹の安定性を高め、姿勢を矯正します。
サポーター: 関節や筋肉を保護し、怪我の予防やリハビリテーションを目的として使用されます。様々な部位に対応したサポーターが存在します。

義肢装具士の役割

装具は、患者の身体の状態や障害の程度に合わせて、専門家である義肢装具士によって採型または採寸され、製作されます。義肢装具士は、患者のニーズを的確に把握し、最適な装具を提供することで、患者の社会復帰や日常生活の質の向上を支援します。

装具の歴史と発展

装具の歴史は古く、古代から木や革などの素材を用いて作られてきました。現代では、金属、プラスチック、カーボンファイバーなど、様々な素材が用いられ、より機能的で快適な装具が開発されています。

装具に関連する用語

補装具: 身体障害者の日常生活を容易にするために用いられる器具の総称です。
義肢: 事故や病気などで失われた手足の機能を補うための人工の肢です。
* 身体障害者: 身体の機能に障害を持つ人のことです。

装具は、障害を持つ人々の生活を支える上で欠かせない重要な医療機器です。適切な装具の使用は、患者の自立を促進し、社会参加を支援する上で不可欠です。

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