装苑賞

装苑賞について

装苑賞は、日本のファッション業界における新人デザイナーの育成を目的とした、権威あるコンテストです。1956年に、ファッション雑誌「装苑」の創刊20周年を記念して創設されました。以来、長年にわたり、数多くの著名なデザイナーを輩出し、新人デザイナーにとっての重要な登竜門としての役割を果たしています。

応募資格

装苑賞の応募資格は、服飾デザインを職業としていない人に限られます。ただし、服飾デザインを本職としてから2年以内であれば応募可能です。また、過去に候補作品に入選した経験がある人は、さらに1年間応募期間が延長されます。この制度は、より多くの才能ある若手デザイナーにチャンスを提供するために設けられています。

審査プロセス

創設当初は年2回開催されていましたが、1987年の第61回から年1回の開催となりました。審査は、当初非公開で行われていましたが、現在は公開形式となっています。審査は、まずポートフォリオ審査でデザイン画を選考し、年3回公募が行われます。その後、選出された候補者は実物作品を製作し、「装苑」誌上で発表されます。最終的に40数点の候補作品が選出され、実物作品の製作期間を経て、公開審査会で大賞である「装苑賞」が決定します。審査員は、候補作品を1年かけて選考したメンバーに加え、トップデザイナー（8名前後）が一堂に会し、厳正な審査を行います。
2009年度の第84回からは、年2回の応募受付となりました。

賞の内容

装苑賞の受賞者には、賞状、トロフィー（三宅一生デザイン）、賞金、副賞として日本テレビ賞、KENZO賞、協賛各社からの賞品、パリの服飾学校への留学特典などが授与されます。佳作1位と佳作2位の受賞者にも、トロフィー、賞金、副賞として日本テレビ賞、協賛各社からの賞品などが贈られます。また、第55回から設けられた細野久賞は、特にクチュールに優れた作品に対して、賞状、賞金、副賞としてパリ往復航空券と賞品が贈られます。

歴代受賞者

歴代の受賞者には、以下のようなデザイナーがいます。

1950年代
第1回（1957）佐藤昌彦
第2回（1958）伊藤幸雄
第3回（1958）貝淵悦子
第4回（1959）入江豊
第5回（1959）仁田敬也

1990年代
第64回（1990）本間游
第65回（1991）准田明子
第66回（1992）木原知美
第67回（1993）岡本憲二
第68回（1994）高橋玲
第69回（1995）(該当者なし)
第70回（1996）町田靖之
第71回（1997）市川栄治
第72回（1998）佐藤功
第73回（1999）野口裕也

2000年代
第74回（2000）中畑満博
第75回（2001）志茂資士
第76回（2002）高村宗範
第77回（2003）岡崎将人
第78回（2004）山口真依子
第79回（2005）太田和義
第80回（2006）田中太
第81回（2007）中島佳奈子
第82回（2008）中山絢
第83回（2009）高橋悠介

2010年代
第84回（2010）西角真美
第85回（2011）明石祥吾
第86回（2012）玉田達也
第87回（2013）桑原啓
第88回（2014）大橋聖平
第89回（2015）ケイツボミ
第90回（2016）山田知佳
第91回（2017）アピチャート・ナランシャー
第92回（2018）南方一
第93回（2019）ソン・セイ
2020年代
第94回（2020）岡本尚美
第94回（2021）長谷川里紗
第95回（2022）大下彩楓
第96回（2023）上村英太郎
第97回（2024）岩野蓮祐




装苑賞は、若手デザイナーにとって、自身の才能を世に示す絶好の機会であり、その後のキャリアを大きく左右する重要なコンテストとして、今後も注目され続けるでしょう。

外部リンク

装苑賞 文化出版局

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