裸足の1500マイル

映画『裸足の1500マイル』の概要

『裸足の1500マイル』（英: Rabbit-Proof Fence）は、2002年に公開されたオーストラリア映画で、実際の出来事に基づいています。本作は、特に1930年代のオーストラリアにおける先住民アボリジニの混血児に対する政策、いわゆる隔離・同化政策をテーマに、混血児が家族と再会しようとする過程を描いています。

ストーリーの背景

映画の舞台は1931年のオーストラリア。白人男性とアボリジニ女性との間に生まれた子供たちは、白人社会に適応させるために家族から引き離され、政府が管理する寄宿舎に送られます。この時期、オーストラリア政府は「盗まれた世代」という言葉で表される政策を実施しており、多くのアボリジニの子供たちが家族と引き離され、文化やアイデンティティを奪われました。

本作の主人公であるモリーは、妹のデイジーと、従妹のグレイシーと共に寄宿舎に収容されます。彼女たちは勇気を振り絞り、2400キロメートル離れた母親の元へ戻ろうと決心します。彼女たちが目指すのは、「ウサギよけのフェンス」と呼ばれる道のみ。だが、その道を進む中で、彼女たちは追跡者の存在に直面することになります。

映画の製作とキャスト

本作は、フィリップ・ノイスが監督を務め、彼自らも製作に関わっています。脚本はクリスティン・オルセンが担当し、原作にはドリス・ピルキングトンの自伝的小説が用いられています。撮影はクリストファー・ドイルが手掛け、音楽にはピーター・ガブリエルが参加しています。

キャストにはエヴァーリン・サンピがモリーを演じ、ケネス・ブラナーがネヴィル役、グレイシーにはローラ・モナガン、デイジーにはティアナ・サンズベリーが出演します。この他にも多くの実力派俳優たちが参加しており、ナレーションは小室正幸が担当しています。

評価と受賞歴

『裸足の1500マイル』は、ロッテン・トマトで145件のレビューを受け、88%の支持率を得ており、平均スコアは7.60/10です。また、メタクリティックでは31件のレビューをもとに加重平均値が80/100という高評価を記録しています。公式上映後には、第56回エディンバラ国際映画祭で観客賞を受賞し、その知名度と評価が高まっています。

原作について

映画は、ドリス・ピルキングトンが自身の実体験を元に書き上げた小説『裸足の1500マイル』を原作としており、2003年には中江昌彦による日本語訳が出版されています。この小説は、アボリジニの視点から描かれる家庭の絆や再会の希望がつまっており、読者に深い感動を与えます。

結論

『裸足の1500マイル』は、単なる映画ではなく、歴史の中で忘れられがちな重要なテーマに光を当てた作品です。家族の絆や強い意志、それに対する悲しみと希望が混在し、観客に強いメッセージを届ける映画として、多くの人々に親しまれています。

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