西ウクライナ人民共和国

西ウクライナ人民共和国

西ウクライナ人民共和国（にしウクライナじんみんきょうわこく、ウクライナ語: Західноукраїнська Народна Республіка, 略称: ZUNR）は、1918年11月にオーストリア・ハンガリーの支配下にあったウクライナのハルィチナー地方で誕生した短命の独立国家です。この政治的形成は、ウクライナ国民民主同盟（UNDO）の影響を強く受けており、彼らは教会及び自由主義や社会主義の価値観に基づいて国の体制を構築しました。国歌には「Ще не вмерла Україна」（ウクライナは滅びず）を掲げていました。

歴史の背景

20世紀初頭、ガリツィア地方ではウクライナ人が約60％を占めていましたが、農村部に多く居住していました。一方、都市部はポーランド人やユダヤ人に支配されていました。特に、リヴィウはポーランドにとって重要な都市であり、そのため西ウクライナ人民共和国が独立を宣言した際、ポーランドはすぐにガリツィアへ侵攻しました。

この時、西ウクライナは東部のウクライナ人民共和国と連携し、1919年1月22日に両国の正式な統一を宣言しました。しかし、両国はそれぞれ外部からの攻撃を受け、連携がうまく進まなかった結果、1919年7月17日にはポーランドの侵攻により、政府はウクライナ人民共和国へ亡命せざるを得なくなりました。

亡命政府の活動

亡命後、西ウクライナはカームヤネツィ＝ポジーリシクィイに政府を設立し、独立戦争に参加していたものの、キエフのウクライナ人民共和国との関係は次第に悪化しました。キエフ政府がポーランドとの和平交渉を始め、西ウクライナ政府がソビエト軍との秘密の協定を試みたものの、条件の未達成により失敗が続きました。

その後、西ウクライナはアントーン・デニーキン率いる白軍と接触し、ロシアにおけるウクライナの自治権を求めて軍事同盟を結びましたが、この案はキエフ政府の反発を招きました。しかし、西ウクライナ政府は白軍が赤軍に圧倒される前の段階で同盟を結ぶ必要があると主張し、最終的にはウィーンに亡命しました。

国際的な認識と解散

1920年4月には、ポーランドとキエフのウクライナ政府がワルシャワ条約を結び、ズブルチ川を国境と定め、東部ガリツィアがポーランドに組み込まれることが決定されました。この結果、西ウクライナ人は強い失望感を抱くこととなりました。その後、西ウクライナ亡命政府はパリ講和会議を通じてこの問題の解決を試みましたが、1923年3月14日に東部ガリツィアの領有はポーランドに正式に認められることになり、西ウクライナ政府は失意の内に解散しました。

西ウクライナ人民共和国の存在は、ウクライナの歴史において重要な位置を占めており、その独立への試みと国際的な運命による影響は、後のウクライナの独立運動においても関連する要素となりました。

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