西ニューブリテン州

パプアニューギニアの広大な国土の中で、西ニューブリテン州はニューブリテン島の西側、豊かな自然に恵まれた地域に位置しています。

この州の行政と経済の中心地はキンベです。総面積はおよそ21,000平方キロメートルに及び、変化に富んだ地形が広がっています。2011年に行われた国勢調査では、人口は約26万4,264人と記録されており、多文化が共存する地域であることがうかがえます。

州の経済を支える重要な産業の一つに、輸出向けのパーム油生産があります。広大な農園から生み出されるパーム油は、この地域の発展に貢献しています。

社会構造としては、住民は主に7つの大きな民族グループから構成されています。こうした民族の多様性は、言語の豊富さにも表れています。州内では、およそ25種類もの言語が話されており、その多くはオーストロネシア語族に属しています。具体的には、以下のような言語が確認されています。

アラウェ語（Solong語とも）
イドゥネ語
キレンゲ語
マレウ語
カポレ語（Bebeli語とも）
ナカナイ語
パシスマヌア語（Kaulong語とも）
バリアイ語
バリ・ヴィトゥ語
ブル語
ボラ語
ハルア語（Xaruaとも）
マンセン語
メーヴェハーフェン語（Aiklep語とも）
メラメラ語
メンゲン語
モク・アリア語
ラモガイ語
プリエ・ラウト方言
ルシ語
ロンガ語（Amara語とも）

オーストロネシア系言語が多数を占める一方で、少数ながらも固有の非オーストロネシア系言語も存在しています。

アネム語
* ペレアタ語（アタ語、ワシ語とも）

宗教面では、住民の多くがローマ・カトリックを信仰しています。信仰はコミュニティの結束にも大きな役割を果たしています。

また、この州にはコヴェ族（コンベ族とも呼ばれます）が数多く居住していることから、パプアニューギニア国内では、西ニューブリテン州の出身者が「コンベ」という愛称で呼ばれることがあります。これは、特定の民族の名前が地域全体の通称となる興味深い事例と言えるでしょう。

このように、西ニューブリテン州は、自然の豊かさ、多様な民族と言語、そして特色ある文化が結びついた、パプアニューギニアの中でもユニークな地域の一つです。

参考文献

R. E. アシャー、クリストファー・マーズレイ 編、土田滋、福井勝義 日本語版監修、福井正子 翻訳『世界民族言語地図』東洋書林、2000年。
Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History.
Lewis, M. Paul; Simons, Gary F.; Fennig, Charles D., eds. (2015). Ethnologue: Languages of the World (18th ed.). Dallas, Texas: SIL International.

関連項目

ラカライ族

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