西井一夫

西井一夫は、1946年1月1日に東京都江戸川区小岩で生まれ、2001年11月25日に食道癌で亡くなった写真評論家、編集者です。

生涯

1968年に慶應義塾大学経済学部を卒業後、弘文堂新社編集部を経て、1969年に毎日新聞社出版局に入社しました。「サンデー毎日」「毎日グラフ」の記者を経て、「カメラ毎日」編集部に異動し、1983年から1985年の休刊まで編集長を務めました。

「カメラ毎日」編集長時代には、写真家たちの才能をいち早く見抜き、世に送り出すことに尽力しました。また、写真表現の可能性を追求し、新たな写真文化の創造に貢献しました。

1989年には、写真家や写真評論家が集う「写真の会」を設立し、「写真の会賞」を主催しました。この賞は、優れた写真作品や写真活動を顕彰することで、写真文化の発展に寄与しました。

1996年には、毎日新聞社出版局クロニクル編集長として、20世紀の歴史を記録したシリーズ「20世紀の記憶」全20巻を立ち上げました。このシリーズは、歴史的な出来事を多角的に捉え、現代社会への示唆を与えるものとして評価されました。

2000年12月、「20世紀の記憶」シリーズの完結後に、毎日新聞社を定年退職しました。その後、食道癌と診断され、2001年11月25日に55歳でその生涯を閉じました。

癌発見から死去までの2ヶ月間は、河瀬直美監督によってドキュメンタリー映画『追憶のダンス』として映像化されました。この作品は、西井の闘病生活と、彼の写真に対する情熱を描いています。

業績

西井一夫は、写真評論家として、写真の本質や可能性を深く考察しました。彼の評論は、写真表現の理解を深め、写真文化の発展に貢献しました。また、編集者として、写真雑誌や写真集の編集に携わり、多くの写真家を育てました。

彼の著書は、写真論にとどまらず、昭和史や阪神大震災など、幅広いテーマを扱っています。これらの著書は、社会や歴史に対する深い洞察を示しており、多くの読者に影響を与えました。

主な著書

昭和史全記録
戦後50年
詳細阪神大震災
日付けのある写真論（青弓社）
写真というメディア（冬樹社）
「昭和二十年」東京地図（ちくま文庫）
暗闇のレッスン（みすず書房）
写真のよそよそしさ（みすず書房）
なぜ未だ「プロヴォーク」か―森山大道、中平卓馬、荒木経惟の登場（青弓社）
DISTANCE―映画をめぐる断章（影書房）


西井一夫は、写真評論家、編集者として、日本の写真界に大きな足跡を残しました。彼の業績は、今もなお、多くの人々に影響を与え続けています。

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