西原正

西原正氏は、1937年8月4日、大阪府に生まれました。国際政治学者としての卓越した業績で知られ、日本の安全保障研究において重要な役割を果たしてきました。財団法人平和・安全保障研究所の理事長を務める傍ら、国際安全保障学会の会長も歴任するなど、学術界におけるリーダーシップを発揮しています。また、防衛大学校の名誉教授として、後進の育成にも力を注いできました。

1962年に京都大学法学部を卒業後、研究の道を志し、1972年にはミシガン大学大学院政治学研究科でPh.D.を取得しました。その後、京都産業大学で助教授、教授として教鞭をとり、1977年からは防衛大学校の教授として長年勤務しました。1981年から1982年にかけては、ロックフェラー財団の研究員も兼任し、国際的な視野を広げました。1993年から1996年には防衛研究所の第1研究部長を兼任、1997年から2000年には防衛大学校社会科学教室の主任を務め、教育・研究の両面で大学に貢献しました。

2000年には、小泉純一郎総理の私的懇談会である「対外関係タスクフォース」のメンバーに選ばれ、2000年から2006年まで第7代防衛大学校長を務めました。2006年に防衛大学校を定年退任した後も、財団法人平和・安全保障研究所の理事長として活動を続けています。

西原氏の業績は、国際政治学、特に安全保障分野における多岐にわたる研究活動に裏打ちされています。著書には、1976年の『The Japanese and Sukarno's Indonesia : Tokyo-Jakarta Relations, 1951-1966』や、1985年の『East Asian Security and the Trilateral Countries : a Report to the Trilateral Commission』などがあり、国際関係における複雑な力学を分析しています。また、1988年の『戦略研究の視角――安全保障戦略読本 平和と安全のための12章』では、安全保障戦略の理論と実践について考察しています。

編著としては、1998年の『Old Issues, New Responses : Japan's Foreign and Security Policy Options』があり、日本の外交・安全保障政策の選択肢を提示しています。共編著には、セリグ・S・ハリソンとの共編による『国連PKOと日米安保――新しい日米協力のあり方』（1995年）や、ジェームス・W・モーリーとの共編による『台頭するベトナム――日米はどう関わるか』（1996年）などがあります。これらの著作は、国際政治における日本の役割や、主要な国際問題に対する日本の対応を考察する上で重要な資料となっています。

西原氏は、その卓越した学術的貢献により、2008年11月に瑞宝重光章を受章、2012年には正論大賞を受賞しました。これらの受賞は、西原氏の研究活動と社会への貢献が広く認められたことを示しています。

西原正氏は、国際政治学の分野における日本の第一人者として、その研究、教育、政策提言を通じて、日本の安全保障と国際社会の平和に大きく貢献してきました。

もう一度検索