西太平洋海軍シンポジウム

西太平洋海軍シンポジウム（WPNS）について

西太平洋海軍シンポジウム（WPNS、Western Pacific Naval Symposium）は、太平洋地域における海軍のさまざまな問題を協議するための重要な会議であり、偶数年ごとに開催されています。このシンポジウムは、参加国が海軍の課題や安全保障に関する協力を議論し、各国の海軍間の絆を深めることを目的としています。さらに、シンポジウムのない奇数年には、その間の復習やテーマ設定を行うWPNSワークショップも開催され、多様な意見交換が行われます。

歴史的背景

このシンポジウムは、1987年の国際シーパワーシンポジウムにおいて「地域の海軍指導者たちが集まり、協力的なイニシアチブについて議論するフォーラムを設立する」という合意から生まれました。1988年には最初の会議が行われ、以来、WPNSは地域の安全保障における重要なプラットフォームとして認識されています。

特に、2014年に中国山東省青島で開催されたシンポジウムでは、海上衝突回避規範（CUES）が合意に至りました。この合意は、海上での衝突を避けるための行動基準を定めるものであり、多くの国が賛同しました。しかし、この会議の際に実施された国際観艦式において、日本の海上自衛隊が招待されず、米国が抗議の意味を込めて艦艇を派遣しなかった経緯があります。これは尖閣諸島を巡る対立が背景にあり、シンポジウムと観艦式を分ける必要があるという中国側の主張があったためとも言われています。

2018年には、韓国において済州国際観艦式が開催され、WPNSも同時に行われました。この際には、韓国側が旭日旗の掲揚を自粛するよう求めたことで、日本の海上自衛隊が護衛艦派遣を見合わせる事態になりました。これも、地域の歴史的な背景や国際関係の影響を受けた事例と言えます。

さらに、2022年には日本がWPNSと国際観艦式を主催する計画を立てていましたが、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、信頼醸成を目指すWPNSの本来の趣旨が損なわれたとして、ロシアへの邀請を取り消しました。このように、地域の安全保障情勢はWPNSにも直接的な影響を及ぼしています。

参加国

2021年10月21日現在、WPNSには21の加盟国と8のオブザーバー参加国が関与しています。加盟国は、地域の安全保障に対する強い関心を持ち、協力の必要性を認識している国々です。一方、オブザーバー参加国は、シンポジウムの議題に興味を持ちながらも、正式な加盟国ではない国々であり、その意見や立場も重要な参考とされています。

WPNSは、将来的にも地域の海軍間の信頼醸成と協力の促進を目指した重要なフォーラムとして、その役割を果たしていくことでしょう。

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