西尾忠久

西尾 忠久（にしお ただひさ）

西尾忠久は1930年6月9日、鳥取県鳥取市に生まれた著名なコピーライターおよび評論家です。彼は関西大学の経済学部を卒業し、大学在学中には同人誌『えんぴつ』に参加し、開高健といった著名人と交流を深めました。その後、三洋電機のPR誌に文筆家として入社し、広告・産業界でのキャリアを本格的にスタートさせました。

1960年代には、日本デザインセンターにてチーフコピーライターとして活躍し、多くのクリエイターを育てたことで知られています。1964年にはアド・エンジニアーズ・オブ・トーキョーを設立し、1969年までその社長を務めました。この期間、彼はアメリカの広告手法を日本に紹介し、特にクリエイティブなアプローチを普及させることに尽力しました。また、80年代までの間に、数多くの著作を発表し、広告に関する書籍を執筆するなど、広告業界への寄与を続けました。

西尾は、広告史においてその功績の高さから、2003年には東京コピーライターズクラブの名誉殿堂に選ばれ、その後も多摩美術大学にて広告のコンセプトについて教え続けました。彼の教育活動は、40年以上にわたって続くものであり、特に海外の広告手法についての講義が高く評価されています。

彼は趣味として、池波正太郎の時代小説『鬼平犯科帳』の愛好家でもありながら、作品に関連する資料の調査にも余念がありませんでした。晩年には『鬼平犯科帳』に関する著書を数多く発表し、その魅力を再発見させる活動を行いました。

2012年7月28日、西尾忠久は食道がんにより82歳で亡くなりました。彼の残した作品やその影響力は、日本の広告業界において今なお色あせることはありません。著名なキャッチコピーとしては、「お子さまのためにきょうの新聞を保存しておいてあげましょう。」（富士銀行）や「6月12日 - 新しい『太陽』が昇ります。」（平凡社・太陽）などがあり、これらは彼の卓越したコピーライティングのセンスを物語っています。

代表的な著書

• - 『効果的なコピー作法』(1963年)
• - 『NO.2主義宣言』(1967年)
• - 『日本のコピーライター』(1968年)
• - 『売る−ヒット・キャンペーンの内幕』(1971年)

さらに、彼のキャリアの中で多くの著作や編著、翻訳も手がけており、特に広告業界への視点を広げることに貢献しました。彼の思想や作品は、今日でも多くのコピーライターたちに影響を与え続けています。

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