西森英行

西森英行（にしもりひでゆき）は、1977年10月15日生まれの日本の劇作家、演出家、構成作家です。彼は1997年に劇団「InnocentSphere」を立ち上げた中心メンバーであり、以来、主宰として劇団の全ての公演において脚本と演出を手がけてきました。

InnocentSphereでの活動を通じて、西森氏はその独特の作風を確立しました。ダイナミックに展開する物語構成の中に、登場人物の心情を深く掘り下げた繊細な心理描写を織り交ぜる手法は高く評価されています。社会的なテーマを扱いつつ、シチュエーションドラマから壮大な群像劇まで、多様なジャンルの物語を手がける技巧には定評があります。劇団は旗揚げ初期から注目を集め、2003年にはパルテノン多摩小劇場フェスティバルで最優秀賞を含む複数の賞を受賞しています。

2009年頃からは、劇団外での活動も本格化させ、その活躍の場を大きく広げました。特にアニメやゲームを原作とした舞台作品の脚本や演出、脚色を数多く手がけ、2.5次元舞台と呼ばれる分野の黎明期から牽引役の一人として重要な役割を果たしています。また、テレビドラマやアニメーションの脚本、ラジオ番組の構成など、様々なメディアでも活動しています。

近年では、日本の伝統芸能である歌舞伎の演出も手がけています。2022年に歌舞伎座の十月大歌舞伎で演出した「荒川十太夫」は、その年の文化庁芸術祭演劇部門において優秀賞を受賞するという快挙を成し遂げました。これは、現代演劇で培った演出手腕を歌舞伎の世界に応用し、古典に新たな息吹を吹き込む成功例として高く評価されています。その後も、歌舞伎座で「俵星玄蕃」や再演となる「荒川十太夫」の演出を担当するなど、歌舞伎界でも存在感を示しています。

これまでに手がけた主な作品には、劇団InnocentSphereの全ての公演のほか、以下のようなものがあります。

アニメ・ゲーム原作舞台：ミュージカル『憂国のモリアーティ』シリーズ、「PERSONA5 the Stage」シリーズ、『ダンガンロンパ3 THE STAGE 2018』、『遙かなる時空の中で』シリーズ、『下天の華 夢灯り』など。
オリジナル舞台：『マホロバ』（東宝×30-DELUX）、音楽劇『刻』など。
歌舞伎：歌舞伎座での『荒川十太夫』、『俵星玄蕃』（演出）。
テレビドラマ：『交渉人〜THE NEGOTIATOR〜』（テレビ朝日）、『ふるカフェ系 ハルさんの休日』（NHK Eテレ）、『The Partner 〜愛しき百年の友へ〜』（TBS、脚本協力）。
* ラジオ：NHK-FM『ラジオ歌舞伎 胸キュンナイト』（構成・脚本、NHK編成局長特賞受賞）、『中村隼人の邦楽ジョッキー』、『中村壱太郎の邦楽ジョッキー』（構成）など。

演劇活動に加え、中学校・高等学校教諭第一種免許（国語、地理歴史）を所持しているという一面も持ち合わせています。

劇団活動で培った創作力を基盤に、幅広い分野で活躍を続ける西森英行氏は、現代演劇から伝統芸能、メディア作品に至るまで、様々なジャンルでその才能を発揮し、多くの観客・聴衆を魅了しています。

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