西武31形電気機関車

西武31形電気機関車

西武31形電気機関車は、1948年に西武鉄道が導入した凸型の直流用機関車であり、現在は伊豆箱根鉄道のED31形として2両が現存しています。この機関車は、戦後の日本における輸送需要の高まりに応えるために製造されました。

概要

西武31形は、1948年に東京芝浦電気によって製造された3両の機関車から成り立っています。これらは、戦時期の標準設計に基づいた40トン級の凸型機関車で、他の鉄道会社にも同類の車両が存在しました。例えば、東武のED4010形や名古屋鉄道のデキ600形などが同じ系統に属しています。これらは、第二次世界大戦中から戦後にかけて作られた機関車の一部です。

導入の背景

西武鉄道は、第二次世界大戦後に電化計画を進めていました。特に、国分寺線（旧・川越線）の電化を通じて貨物輸送能力の強化を図ることが目的でした。1947年、45トン級の電気機関車4両の設計認可を申請しましたが、様々な要因から計画は変更され、最終的に40トン級の3両の設計が認可されました。この認可は川越線の電化完成の約1か月前の1948年7月に下りました。

しかし、当初企画した機関車は、日本の鉄道限界に合わないワイドボディ設計であったため、様々な問題に直面しました。それでも、戦中・戦後の物資不足の中、需要は高まり続けていたため、これらの機関車は他社にも振り向けられました。

製造とその後

西武鉄道は、東芝が製造したこのタイプの機関車を導入し、国鉄並みに車両限界を拡大しました。しかし、導入後すぐに戦後のインフレの影響で運賃問題が発生し、最終的に合同契約に関する訴訟に発展します。結局、契約が成立し、オリジナルの東芝製車両を入手しました。1955年には所沢工場でオリジナルを模した1両が製造されますが、これにはいくつかの改修点がありました。

主電動機の設定が国鉄のものと同じになったことで、牽引力は低くなり、定格速度は34.8km/hという特異な性能を持つことになりました。このため使い勝手が悪く、製造から数年で利用が少なくなります。1949年には32（初代）が駿豆鉄道に貸し出され、1952年には33（初代）が正式に譲渡されました。

その後の譲渡

駿豆鉄道に譲渡されたこれらの機関車は、ED31形として運用され続けました。また1955年には所沢工場製の機関車が、1956年に番号を変更されたものもあります。1963年には越後交通に譲渡され、他の鉄道会社でも活躍することになります。

特に伊豆箱根鉄道では、ED31形として運用される際に改造を受け、ATSや無線装置が装備されるなど、現代の要件に合わせて更新されました。現在でも走行が可能であり、鉄道ファンにとっては貴重な存在です。

結論

このように西武31形電気機関車は、製造から数十年が経過しましたが、未だに多くの鉄道ファンの間で記憶され、活動の場を持っています。歴史ある電気機関車として、日本の交通史にその足跡を残し続けています。

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