西表海底火山

西表海底火山の概要

西表海底火山は沖縄県西表島の北北東に約20キロメートルの海底に位置しています。気象庁ではこの火山を「西表島北北東海底火山」と呼称していますが、正確な位置や構造については未だに研究が続けられています。

突然の噴火

1924年10月31日、宮古丸が台湾から那覇へ向かう途中で偶然噴火を目撃しました。午前9時35分、鳩間水道を通過中、前方の海面が異常を示しているのを確認し、火山の噴火であることを判断した船長は船の進路を変更しました。しかし、その後爆発の規模が増し、濁水と軽石が海中から噴出しました。

宮古丸は午後1時に無事に帰港し、船長は直ちに周囲に状況を報告しました。その結果、噴火の情報は瞬時に広がり、島民たちは避難を試みましたが、その中には混乱により防災行動ができなかった人々も見られました。この噴火の影響で軽石が大量に海岸に打ち上げられ、約3ヶ月間、現地では船舶の航行ができなくなりました。

軽石の漂流と影響

噴火後、軽石の総噴出量は約1立方キロメートルに達しました。軽石は沖縄諸島各地の海岸にまで打ち上げられ、日本全域に漂流しました。特に、北海道の礼文島にまで到達したことから、火山噴火と海流研究においても貴重なデータとして利用されています。また、軽石は二酸化ケイ素を73%含むことが明らかになっています。

群発地震の発生

さらに、1991年から1994年にかけて西表島北部で群発地震が観測されました。この地震は非常に浅い震源から発生し、最大でもマグニチュード5.2に留まりました。特に1992年10月には800回以上の地震が記録され、西表周辺に軽石が漂着する現象が見られました。

これにより、火山の再噴火が懸念されましたが、調査の結果、火山活動とは無関係との見解が示されました。この震災の影響で観光客が激減するなど、地域経済にも影響を与えました。

現在の状況と研究の進展

西表海底火山の具体的な噴出源は現在も不明であり、今後の研究によって新たな発見が期待されています。この火山は九州の火山帯と関連があるかもしれませんが、詳細な関係はまだ解明されていません。今後の調査によって、琉球海底火山帯の存在や、他の海底火山の特定が進むことが期待されています。

まとめ

西表海底火山は、その突発的な噴火とその後の軽石の漂流、さらに1990年代の群発地震により多くの影響を及ぼしました。現在もその正体は謎に包まれていますが、今後の研究により更なる知見が得られることを期待しています。

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