西遊記 (1960年の映画)

アニメ映画『西遊記』の魅力

1960年に公開された『西遊記』は、東映アニメーション制作の長編漫画映画であり、多くの観客に愛された名作です。手塚治虫の作品である『ぼくの孫悟空』を原案にしており、その面白さと独創性が光る本作は、全世界の子供たちが楽しめる内容になっています。キャッチコピーには「全世界のよい子が待ちに待った、唄と笑いの孫悟空の大冒険!!」というメッセージが添えられています。

制作の背景

本作は東映動画による第3作目の長編アニメ映画として製作されました。制作のリーダーである白川大作は、他の作品にはないオリジナリティを追求し、1958年から59年にかけて手塚治虫に企画を提案しました。手塚は自身の忙しい漫画執筆の合間を縫ってストーリーボード作業に参加し、その構想を具体化していったのです。

この映画では、手塚の描いたラフなストーリーボードを基に、脚本家の植草圭之助が正式な脚本を作成しましたが、東映動画側の意向により多くの改変が行われました。手塚が描いたラフな構成は、起承転結の強化を求めるスタッフに対して少々異なるアプローチだったためです。修正を重ねる中で、月岡貞夫と漫画家活動を始めたばかりの石森章太郎が手伝いに参加し、作品が完成に近づいていきました。

ストーリーの概要

物語は、石の中から生まれた猿の子・石猿が、猿の女の子燐々と友達になるところから始まります。彼は勇気を試すため滝壺へ飛び込み、そこから数々の冒険が始まります。多様なキャラクターたちとの出会いや、スリリングな修行を経て、孫悟空として名を馳せる彼の旅が描かれます。個性的な敵や仲間たちとのやり取りを通じて、友情や成長が表現されます。

若干のスリルとユーモアに満ちた展開を見せるこの映画では、孫悟空が様々な障害を乗り越え、最後には明るい結末を迎えます。作画や表現方法においても、当時の技術の粋を集めた力作が織り込まれており、観客の心を引きつけます。

映画の受賞歴

『西遊記』は、そのクオリティの高さから多くの賞を受賞しています。特に、1960年に開催された第13回ヴェニス児童映画祭では特別大賞を受賞するなど、国内外で高く評価されていました。また、教育的な価値も認められ、文部省の選定や各地の教育委員会からの推薦も受けています。

映像ソフトとリバイバル

公開後も、アニメーションファンの間で語り継がれる本作は、1992年にはレーザーディスクとして、2002年からはDVDとして販売されています。リバイバル上映も行われ、多くの人たちに観られ続けている作品です。

結び

『西遊記』はアニメーション史において重要な位置を占めており、手塚治虫の独創的なアイデアと、当時のアニメ制作の情熱が込められた名作です。今日でも多くの人々に愛され、観る人に夢と冒険を提供し続けています。この作品を見たことのない方には、ぜひ一度触れてみてほしい一作です。

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