西部に踊る拳銃の歌

『西部に踊る拳銃の歌』（Songs of the Gunfighters）

本作は、1960年8月に日本の音楽レーベルである日本コロムビアより世に送り出された、フォア・コインズ、原田実とワゴン・エース、そしてテレビランド管弦楽団という、当時活躍していた異なるスタイルのアーティストが集結したオムニバス形式の音楽アルバムである。

1960年代初頭は、日本においてもウェスタン音楽やカントリーミュージックが一定の人気を博しており、特にアメリカのテレビドラマや映画の主題歌、挿入歌などが広く知られる機会が多かった。本作も、そうした時代の空気感を反映したタイトルと内容を持っており、当時のリスナーにとって馴染みのある、あるいは興味を引く楽曲群が収められている。

アルバムの構成はA面（Side 1）とB面（Side 2）に分かれており、それぞれに個性豊かな楽曲が5曲ずつ、合計10曲が収録されている。収録曲のタイトルからは、「アリゾナ」や「連邦保安官」、「コルト45」、「ローハイド」といった、西部開拓時代やガンマン、あるいはそれを題材にした当時のテレビ番組などを想起させる言葉が多く見られ、アルバム全体のテーマ性が統一されていることが伺える。

参加アーティストは、コーラスグループであるフォア・コインズ、スチールギター奏者の原田実が率いるワゴン・エース、そしてテレビランド管弦楽団という顔ぶれである。この組み合わせからも分かる通り、楽曲によっては歌唱を主体としたもの、インストゥルメンタル演奏を主体としたものなど、多様なアプローチで「西部の歌」が表現されている点が特徴である。

収録曲リスト

アルバムには以下の10曲が収録されている。

Side 1

1. アリゾナ・トム
2. アリゾナ・レインジャー
3. 名犬リンチンチン
4. 連邦保安官
5. バット・マスターソン

Side 2

1. ハイウェイ・パトロール・マーチ
2. シャイアン
3. 西部のパラディン
4. コルト45
5. ローハイド

これらの楽曲の多くは、当時の人気テレビシリーズの主題歌や関連楽曲であったと推測される。例えば、「名犬リンチンチン」や「ローハイド」は、日本でも放映され人気を博した同名のテレビ番組と結びつくタイトルである。

パーソネルと担当楽曲

本作において、各楽曲の演奏または歌唱は、参加している3組のアーティストによって分担されている。その内訳は以下の通りである。

フォア・コインズ（歌唱）: Side 1のトラック2、3、4、およびSide 2のトラック2、3、4を担当している。コーラスグループとして、楽曲に歌声を加えている。
原田実とワゴン・エース: Side 1のトラック3、およびSide 2のトラック3、4を担当している。スチールギターを中心としたウェスタン/カントリーサウンドを提供している。
* テレビランド管弦楽団: Side 1のトラック1、2、4、5、およびSide 2のトラック1、2、5を担当している。オーケストラの演奏によって、主にインストゥルメンタル楽曲や楽曲のバック演奏を務めている。

この担当割り振りから、フォア・コインズとテレビランド管弦楽団、あるいは原田実とワゴン・エースとテレビランド管弦楽団のように、複数のアーティストが同じ楽曲に参加しているケースがあることがわかる（例: Side 1-2, Side 1-4, Side 2-2, Side 2-3, Side 2-4）。これは、当時のレコード制作において、異なる得意分野を持つアーティストが協力して一つの作品を作り上げる手法が取られていたことを示唆している。

『西部に踊る拳銃の歌』は、1960年代の日本の音楽市場におけるウェスタン音楽の一側面、特にテレビ番組との連携によって広まった音楽文化を記録した貴重な一枚と言えるだろう。多様なアーティストによるそれぞれの解釈で表現された「西部の歌」は、当時のリスナーに異国情緒あふれる響きを届けたに違いない。

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