西部劇映画主題曲集

『西部劇映画主題曲集』とは

『西部劇映画主題曲集』は、日本のスティール・ギター奏者の第一人者として知られる原田実と、彼が率いる音楽グループ、ワゴン・エースによって制作されたアルバム作品です。このレコードは、1962年11月に東芝音楽工業のレーベルより初めて世に送り出されました。当時の人気ジャンルであった西部劇映画の中から、特に耳馴染みのある主題歌や印象的な挿入歌を選りすぐり、彼らの独特な音楽性で再構築したインストゥルメンタル作品集となっています。

原田実とワゴン・エースは、戦後日本のカントリー＆ウェスタン音楽を牽引したグループの一つであり、その洗練された演奏技術と、特に原田実によるスティール・ギターのメロディックな響きは多くのファンを魅了しました。本作は、そうした彼らの音楽スタイルが、映画音楽という親しみやすい素材と結びついた好例と言えるでしょう。

収録内容

アルバムには合計10曲が収録されており、当時のLPレコードの慣例に従い、A面（Side 1）とB面（Side 2）に分けられています。

Side 1

黄色いリボン（原題：She Wore a Yellow Ribbon）：同名映画『黄色いリボン』の主題歌、あるいはジョン・ウェイン主演『騎兵隊』の主題歌として広く知られる行進曲。ここではメロディックに奏でられます。
OK牧場の決斗（原題：Gunfight at the O.K. Corral）：同名映画の主題歌。フランキー・レインが歌ったことでも有名ですが、ここではインストゥルメンタルでその緊張感ある旋律が描かれます。
遙かなる山の呼び声（原題：The Call of the Faraway Hills）：映画『シェーン』の主題歌。非常に叙情的で美しいメロディを持つ楽曲であり、スティール・ギターの音色が特に映える一曲と言えるでしょう。
駅馬車（原題：Stagecoach）：ジョン・フォード監督の古典的名作『駅馬車』のテーマ曲。疾走感あふれるこの曲も、彼らの手によってカントリー・ウェスタン風にアレンジされています。
ボタンとリボン（原題：Buttons and Bows）：映画『腰抜け二挺拳銃』の主題歌。ビング・クロスビーによって歌われヒットしたコミカルな雰囲気の楽曲です。

Side 2

ハイ・ヌーン（原題：High Noon）：映画『真昼の決斗』の主題歌。テックス・リッターが歌ったオリジナルも有名ですが、本作ではインストでその孤独感と決意を感じさせる旋律が表現されています。
皆殺しの歌（原題：Degüello）：映画『リオ・ブラボー』で使用された楽曲。元々はテキサス独立革命におけるアラモの戦いで使用されたメキシコ軍の進撃ラッパの旋律であり、降伏勧告と一切の情け容赦をしないという意思表示の意味合いを持ちます。映画本編でも印象的に使われました。
大いなる西部（原題：The Big Country）：同名映画『大いなる西部』の壮大なテーマ曲。ジェローム・モロス作曲によるこの曲は、広大なアメリカ西部の風景を想起させます。
帰らざる河（原題：River of No Return）：映画『帰らざる河』の主題歌。マリリン・モンローが歌ったことでも知られるこの哀愁を帯びたメロディも、彼らの演奏によって新たな魅力が引き出されています。
デイヴィー・クロケットの歌（原題：The Ballad of Davy Crockett）：ディズニーが制作したテレビシリーズや映画『デイヴィー・クロケット』のテーマ曲。フロンティア・スピリットを感じさせる陽気な楽曲です。

これらの楽曲は、いずれも当時の日本において、あるいは世界的にも広く知られていた西部劇映画の代表的な主題歌や挿入歌です。原田実とワゴン・エースは、これらのメロディを、彼らの得意とするスティール・ギターやバンジョーなどをフィーチャーしたカントリー＆ウェスタン・スタイルで見事に演奏しています。単なるカバーではなく、原曲の雰囲気を大切にしつつも、彼ら独自の解釈とアレンジが加えられている点が本作の聴きどころと言えるでしょう。

演奏参加者

このアルバムの制作における主要な演奏参加者は、以下の通りです。

原田実とワゴン・エース
原田実: スティール・ギター、および楽曲の編曲を担当。彼の奏でるスティール・ギターの音色が、アルバム全体のサウンドの核となっています。

ワゴン・エースの他のメンバーについての詳細なクレジットは、入手可能な情報からは確認できませんが、彼らが一体となって作り出すアンサンブルが、これらの名曲に新たな息吹を与えています。

参考資料

このアルバムに関する情報は、主にレコードに付属していたライナー・ノーツを基に構成されています。

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