見上げてごらん、夜空の星を

『見上げてごらん、夜空の星を』は、美少女ゲームブランドPULLTOPが2015年12月18日に世に送り出したアドベンチャーゲームです。かつて『この大空に、翼をひろげて』を手掛けたスタッフ陣が再び集結して制作されました。

物語は、星を見上げなくなった天文部員、宙見暁斗が中心に描かれます。幼少期には毎晩のように友達と星空を眺めていた彼でしたが、とある出来事をきっかけに夜空から遠ざかってしまいます。しかし、天文活動を行うサークル「むつらぼしの会」への誘いを受け、それを断るために会場へ向かったことで、引っ越しを機に疎遠になっていた幼馴染の箒星ひかり、そして天ノ川沙夜と再会します。この再会が、暁斗が再び夜空を見上げるきっかけとなり、仲間たちと共に星の魅力を追い求め、その感動を人々に伝えようとする日々が始まります。

登場人物たちは個性的で魅力的です。主人公の暁斗は、一度は星への情熱を失いながらも、再び仲間たちとの絆を通じて輝きを取り戻していきます。メインヒロインの箒星ひかりは、行動力があり、暁斗や沙夜との再会によってかつての賑やかな日々を取り戻します。天ノ川沙夜は、優等生のように振る舞いますが、実はどこか抜けている一面を持つ、放っておけない存在です。他にも、実家がお金持ちで名門校の天文部部長である白鳥織姫、天然で小悪魔的ながらも主人公より年下の日下部ころななど、個性豊かなキャラクターが登場します。

本作はリリース後に高い評価を受けました。萌えゲーアワード2015では準大賞を受賞。選考委員からは、美しい星空のグラフィック、臨場感あふれるサウンド、そして主人公とヒロインたちの幼少期から現在に至るまでの関係性が丁寧に描かれている点が特に称賛されました。過去と現実のギャップや切ない三角関係がリアルに描写されることで、感動が深まると評されています。ユーザー人気投票でも、Getchu.comで発売月の2位を獲得し、年間ランキングでも複数の部門で上位に入賞するなど、多くのファンに支持されました。

また、海外のゲーム情報サイトHARDCORE GAMERに掲載されたレビューでは、物語における回想シーンの多用が指摘されつつも、主人公、ひかり、沙夜の3人に焦点が絞られているため、混乱が少ないと評価されています。子供時代の友情、喪失、嫉妬といった普遍的なテーマが巧みに扱われている点が肯定的に評価されました。一方で、翻訳の正確性や、日本語版に存在した性的なシーンが削除された点については批判的な意見も述べられています。

本作の成功を受けて、ファンディスクも制作・発売されました。2016年5月には、本編ヒロインのアフターストーリーに加え、サブヒロインだった早乙女美晴や吉岡帆乃香が攻略対象となった『見上げてごらん、夜空の星を FINE DAYS』が登場。こちらは萌えゲーアワード2016で金賞・ファンディスク賞を受賞し、「もっとこのヒロインと一緒に過ごしたい」というファンの要望に応えた作品として高い評価を得ました。さらに2018年6月には、ミニストーリーやドラマCD、サウンドトラックコードなどを収録したバラエティパック『見上げてごらん、夜空の星を Interstellar Focus』が発売され、こちらも萌えゲーアワード2018で金賞・ファンディスク賞を受賞しています。

音楽面も作品世界を彩る重要な要素です。オープニングテーマ「Winter Diamond」は「失われた万能感の復活」、メインテーマ「Star Map」は「青春の衝動とよくわからない焦燥感」をテーマに制作されました。BGMについては、シンセサイザー系の音を抑え、昼間のシーンではギター、夜のシーンではピアノを中心にした構成にするなど、細部にわたるこだわりが反映されています。

『見上げてごらん、夜空の星を』シリーズは、美しい夜空を舞台に、少年少女たちの繊細な心の機微や、友情、愛情、そして成長を描いた、感動的な青春アドベンチャーゲームとして、多くのプレイヤーに愛されています。

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