見聞諸家紋

『見聞諸家紋』について

『見聞諸家紋』（けんもんしょかもん）は、日本の武士階級の家紋を体系的に収録した書物であり、家紋に関する資料としては日本で最も古いものとされています。この著作は、室町時代の特に足利義政が将軍を務めていた時期に成立しました。別名として『東山殿御紋帳』とも呼ばれ、これにより当時の武士階級やその背景を知る手掛かりとなっています。

概要

『見聞諸家紋』には、将軍家や守護大名から国人層に至るまで、260ほどの家紋が収録されています。現存する写本は28冊に及び、その中には新井白石によって整理されたものがあり、現在は宮内庁の諸陵部で保管されています。この古書は、特に応仁の乱の影響を受けた時代背景を反映した作品で、その成立時期は1467年から1470年の間と考えられています。

著者は多くの人々の家紋を見聞し、それらを記録することで、当時の社会構造や武士のアイデンティティを浮き彫りにしています。特に、応仁の乱では将軍義政を支えた東軍に所属していた武士たちの情報が多く、彼らの足跡をたどるための貴重な資料となっています。基本的な情報は官職や姓名が明記されており、これにより個々の武将やその部下の詳細を知ることが可能です。

内容と影響

この家紋集の重要性は、単に図案を記載しただけでなく、家紋が武士の社会的地位を示す象徴であった点にもあります。家紋は、戦国時代の合戦において、各家の顔とも言える存在であり、戦場での識別や家のアイデンティティを確立する上で重要でした。『見聞諸家紋』は、家柄や名誉を示すための重要な要素として、武士たちの精神的支柱ともなったことでしょう。

まとめ

『見聞諸家紋』は、日本の歴史において不可欠な資産であり、当時の武士文化や社会構造を理解するための貴重な資料です。今後もさらに多くの研究や解明が待たれるところです。家紋の研究に興味のある方にとって、この著作は必見の資料です。さらに、家紋に関心がある方は他にも『家紋の一覧』や『十大家紋』、また『群書類従』なども参照すると、より深い理解を得ることができるでしょう。

外部リンク

• - 『東山殿紋帳』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
• - 群書類従巻第四百廿四『見聞諸家紋』 - 国立公文書館デジタルアーカイブ

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